始祖鳥(古生物)について

更新履歴
 『翻訳『始祖鳥はバシリスク型の水上走行者であったか?』を追加しました。
2009年6月9日
 試験的にJavaScriptとスタイルシートによるサイドバーを導入しました。
2008年3月16日
 『始祖鳥発見の経緯』を新設しました。
2007年11月14日
 『始祖鳥化石と鴈作騒動』に追記しました。
2007年11月2日
 【確認されている標本】に始祖鳥化石の写真を追加しました。
2007年10月31日
 【特徴】『始祖鳥は樹上性にあらず』へのリンクを追加しました。
2007年10月29日
 【主要論文の内容梗概の翻訳】『始祖鳥の骨格の化石生成論: 定量的アプローチ』のアブストラクトを追加しました。
2007年10月16日

【ニュース】

2005年12月6日更新

始祖鳥は木に止まれなかった - 2005年12月6日 -

 サイエンス 12月2日号発表の論文です。

 10番目の始祖鳥標本「サーモポリス標本」についてG. Mayrらが詳しく調査したところ、始祖鳥の脚について下記のことが明らかになりました。

(1)始祖鳥の脚の「親指」は非鳥類型恐竜と同様の構造であり、木の枝を掴める脚ではなかった
 まず第一に、この形質により非鳥類型恐竜と始祖鳥の類縁関係がより強化された、ということになります。

 もう一つこの事実からわかるのは、「始祖鳥は木の枝に止まれなかった」ということです。
 現生鳥類の多くは親指が他の指と対抗してついているため、木の枝を掴んで止まることができますが、始祖鳥の親指は他の指と並列についているため、木を掴むことができないのです。つまり、木の枝に止まったり、そこから滑空する始祖鳥と言う復元図は「木の枝に止まるタンチョウヅルの絵」と同様、誤りと言うことになります。
 当時のゾルンホーヘンの植物相(干潟で3mを超える高木が存在しない)(Viohl, 1985)を考慮すると、樹上から滑空していた可能性は非常に低いことが以前から指摘されていましたが、今回の発見はそれを裏付けるものとも言えます。

(2)始祖鳥の脚の第2趾は自由に回転する
 恐竜に興味があるかたならばご存知だと思います。これは肉食恐竜、ディノニコサウルス類(有名どころでは映画「ジュラシック・パーク」に登場したヴェロキラプトル)の特徴です。
 つまり、この発見によりディノニコサウルス類と始祖鳥の類縁関係がより強固なものになった、ということになります。

参考リンク:サイエンス 日本語版ハイライト


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【概要】

2000年3月15日更新


 1861年、一枚の羽毛化石が von Meyerによって記載されました。この標本は、その前年(1860年)にドイツのバイエルン、アルトミュール地方の石版岩(粘板岩)採掘場から発見されたもので、Archaeopteryx lithographicaと名づけられました。属名のアーカエオプテリクス(※3)はギリシア語で『古代の羽毛』、あるいは『古代の翼』という意味があります。(※2)
 <arkhaios (古代の:ギリシア語) + pteryx (翼、羽毛:ギリシア語)>
 そしてリトグラフィカという種名は、ゾルンホーヘン産の粘板岩は当時、リトグラフ(石版印刷)の材料として使われていたことに由来しています。

 この羽毛の持ち主は、奇しくもその翌年後に正体が判明します。1861年、最初の完全な始祖鳥化石である『ロンドン標本(London specimen)』の発見です。この化石はまさにリトグラフ(印刷物)のごとく完璧な保存状態でした。
 獣脚類風の骨格のまわりに、有無を言わさぬほどくっきりとした羽毛痕が浮き上がっています。今にいたるまで、これは中間型と呼ばれる化石のなかでももっとも有名なもののひとつではないでしょうか。
 ゾルンホーヘン一帯は、始祖鳥の生息していた後期ジュラ紀・キンメリッジ期(約1億5千万年前)には潟湖(ラグーン)であったため、泥に沈んだ始祖鳥の体は他の生物の活動などによって分解されることもなく、そのまま化石になったのでしょう。羽毛一枚一枚さえも確認できる保存状態は、この『死の世界』のたまものとも言えます。

【注釈】
※1 最初の始祖鳥化石
 実はもっとも古い標本は1855年に発掘されていたのですが、これが始祖鳥だと確認されたのは1970年になってからのことです。
※2 『古代の翼』 2006年5月30日追記
 ほとんどのWEBサイトがArchaeopteryxを『古代の翼』と訳しているようですが、上記の通り、Archaeopteryxは一枚の羽毛化石に対して行われた命名ですので、歴史的経緯を考えると『古代の羽毛』が本来の意味に沿った翻訳です。
※3 始祖鳥の学名のカナ表記 2007年10月31日追記
 Archaeopteryxをどう発音するかについて、当地では産出地であるドイツ語読みの「アーカエオプテリクス」を使っていますが(シュトゥットガルド自然史博物館のRupert Wild研究官がこう発音していたのでそれに倣った)、一般書で多く使われているのは「アーケオプテリクス」のようです。「アーケオ~」の出典は英語の発音ではないかと思うのですが、英語読みだと「アーオプテリクス」になるはずなので(BBCとDISCOVERY CANNNELの両方ともこの発音であることを確認)、なぜこの表記が多数派となったのかは不明です。