Geology of the Solnhofen Lithographic Limestone and the Habitat of Archaeopteryx (Viohl, G. 1985) |
ゾルンホーフェン石版石灰岩層の地質学および始祖鳥の生息地 (Geology of the Solnhofen Lithographic Limestone and the Habitat of Archaeopteryx) Gunter Viohl (ギュンター・フィオール) 内容梗概 ゾルンホーフェン石版石灰岩層(Solnhofen Lithographic Limestones)における層位学上,古地理学上,および古生態学上の調査が行われた. 粘土の含有成分,陸上植物相,および動物相などのいくつかの証拠が,乾期と雨季の変化を伴う半乾燥のモンスーン気候であったことを示している.始祖鳥の生息地は針葉樹およびベネチテス類(Bennettitales)で構成される繁みと,植物のまばらな領域の混在する場所であった.森林の欠落から,始祖鳥の生態における行き渡っている様式としての木登り(樹上生活)は除外できる.原鳥類は おそらく彼らの前肢の鉤爪を使用することで幹を掴み,昆虫を探すため繁みに登った.始祖鳥は疑う余地無く動力飛行(powered flight)ができた.特にベルリンとアイヒシュテット標本の完璧な保存状態は,素早い埋葬を示すもので,長距離を運ばれてきた可能性を除外する.動物(始祖鳥)は海上を飛行中におそらく嵐に捕まって溺死したのだろう. 原文: Viohl, G. 1985. Geology of the Solnhofen lithographic limestone and the habitat of Archaeopteryx. In Hecht, M.K., Ostrum, J. H., Viohl, G. & Wellnhofer, P.(eds) The Beginnings of Birds. Proceedings of the International Archaeopteryx Conference Eichstätt 1984:31-44. Willibadsburg: Freunde des-Jura-Museums Eichstätt. 2007年2月4日翻訳
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Scaling of bird claws (Pike, L.,et al. 2004) |
鳥における爪のスケーリングについて (Scaling of bird claws) A. V. L. Pike D. P. Maitland 内容梗概 鳥の鉤爪のジオメトリ(幾何学)はそれらの生活様式の予測に使用することができる.しかしながら,以前の研究は,鳥のサイズがこれらの予測にどのように影響するかを考慮していない.従って,今回の研究では,鳥の鉤爪における幾何学上のスケーリング関係がはさまざまな生活様式の異なった現生の鳥について検証される: 捕食性(predatory),登攀性(climbing),樹上性(perching),地表性(ground-dwelling)である. 後肢の鉤爪の半径測定値(すなわち,爪のサイズ)と第三指の鉤爪の鉤爪の角度(すなわち,鉤爪の「引っかかり具合」)は体重において0.0057kgから44kgまでに及ぶ120種の鳥の上に作られた. 鉤爪の半径はすべての種において(体重)0.34に比例していることが判明した.鉤爪の角度は捕食性(predatory),登攀性(climbing)の鳥では体重とともに増加が確認され(大きい鳥には引っかかり具合の大きい鉤爪がある),地表性(ground-dwelling)の鳥では体重とともに減少が確認された(大きい鳥には引っかかり具合の小さい,より平坦な鉤爪がある).樹上性(perching)の鳥では鉤爪の角度と体重の間に明確な関係は確認できなかった.生活様式は鉤爪の半径か鉤爪の角度のどちらかの測定を使用している状態では確実性をもって予測することができず,始祖鳥などの化石種を割り当てることにおける困難さを示すものである. 鉤爪のデザインはそれにかかる力に耐えられるべきであるので,様々な種類の鳥の鉤爪によって経験される応力を確定するさらなる作業が必要とされる. ※訳者注 climbingは「登攀性」よりは「樹面性」と訳すのが適切かもしれない. 原文: Pike, A. V. L., Maitland, D. P., 2004. Scaling of bird claws, Journal of Zoology 262 (1), 73-81. 2007年9月21日翻訳
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The skeletal taphonomy of Archaeopteryx: a quantitative approach (Kemp, R.A.,et al. 1997) |
始祖鳥の骨格の化石生成論: 定量的アプローチ (The skeletal taphonomy of Archaeopteryx: a quantitative approach) RICHARD A. KEMP DAVID M. UNWIN 内容梗概 新しい手法は、高度な骨格の明瞭さと完全性を伴う化石脊椎動物におけるタフォノミー上の調査のために叙述され、そして始祖鳥のタフォノミーの分析に適用される。始祖鳥の既知の骨格標本は2種類のカテゴリに分類できる: (A)非常に明瞭でほとんど完全な骨格 (B)より不完全で明瞭でないが、部分的に非常に明瞭な骨格 これらのカテゴリの違いはおそらくその死と埋葬の間の経過時間の作用によるものであり、これらの分類はより大きい可能な範囲でのタフォノミー上の変化の一例として解釈される。(始祖鳥の)標本は腐敗の過程(decay sequence)よりむしろ腐敗のスペクトラム(decay spectrum)の要素を表しており、部分的な漂流の形跡に関する証拠は全くない。従来は解剖学的な状態であると考えられていた始祖鳥の手の指の交錯は、死後に二次的に生じたものと解釈される。 原文: KEMP, R.A., UNWIN, D.M., 1997. The skeletal taphonomy of Archaeopteryx: a quantitative approach, Lethaia, Volume 30, Issue 3, 229-238. (2007年10月16日翻訳)
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Foraging modes of Mesozoic birds and non-avian theropods (Glen, C. L. & Bennett, M. B., 2007) |
中生代の鳥類および非鳥類型獣脚類の採餌方法 (Foraging modes of Mesozoic birds and non-avian theropods) Christopher L. Glen Michael B. Bennett 内容梗概 鳥類の起源と初期進化は進化生物学上の大きなトピックである。20世紀において、進化史のシナリオは、地表性の鳥の先祖と樹上居住性の鳥の先祖の両方が提起された。これは誤った2分法であると認識される。我々は、後肢の機能を考慮に入れた場合、多くの現生鳥類が地上と樹上の移動者というあいまいな分類にあることが問題の一部であると暗示する。実際のところ、これらは互いに排他的な二者択一型の手段というわけではない。多くの現生鳥類が異なった度合いで地上-樹上の習性を示す。よって、我々は2分法よりは、現生鳥類と彼らの示す地上 And/Or 樹上の採餌行動に照らし合わせた連続体の上に配置することを提案する。この手法をテストするために、我々は完新世鳥類249種における爪先の鉤爪を分析し、樹上の採餌行動がより支配的になることに伴って鉤爪の湾曲が増加することを明確にした。改良された鉤爪の形状測定基準は、後者の習性を暗示するため、現生鳥類と絶滅した鳥類との直接比較をより多く許容する。先人の研究の対照によると、中生代の鳥類、およびそれと密接な関係のある非鳥類型獣脚類(non-avian theropod)の爪の弯曲率は、完新世の樹上性鳥類とは明らかに異なっており、それよりも「地上で採餌する(ground-foraging)」鳥類に近いことを我々は発見した。 原文: Glen, C. L. & Bennett, M. B., 2007. Foraging modes of Mesozoic birds and non-avian theropods. Current Biology, Volume 17, Issue 21, 6 November 2007, Pages R911-R912 (2007年11月9日翻訳)
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The quality of the fossil record of Mesozoic birds (Fountaine, T.M.R., Benton, M.J., Dyke, G.J. and Nudds, R.L. 2005) |
中生代の鳥類における化石記録の品質 (The quality of the fossil record of Mesozoic birds) Toby M. R. Fountaine Michael J. Benton Gareth J. Dyke Robert L. Nudds 内容梗概 中生代の化石記録は、鳥類の初期進化とその後の放散を理解にとって不可欠であると判明した。知見は僅かであるが、しかしながら、その相対的完全性について――中生代からの鳥類の化石記録はどの程度「良好」なのか?分子生物学上の資料と古生物学的な資料との間で、鳥類の主要なクレードの起源の推定時期が食い違うことについての議論において、この疑問は近年顕在化するようになった。すべての周知の化石種タクサを構成するデータセットを使用することにより、我々はこの疑問に対して、いくつかの方法による解析結果を提示する。鳥類多様性が中生代に不完全に表されたままで残っているのに対して、多くの比較的完全な鳥類標本が発見された。新しいタクサが基盤的な鳥類の進化系統樹に加えられたが、全体的な状態は不変であり、初期の鳥類進化の全般的な概要が首尾一貫してその存在を確立している――断片的な化石が、より完全な状態の化石に対して過剰であることによって特徴づけられる段階は中生代には無い。新鳥類(近代的なオーダー)の例が白亜系における後期から知られているが、それらの化石は基盤的な鳥類グループのそれらよりも希少であり、より断片的であることから、地質学的な見解よりむしろ、生物学的な見解を支持することを我々は提案するものである。 原文: Fountaine, T.M.R., Benton, M.J., Dyke, G.J. and Nudds, R.L. 2005. The quality of the fossil record of Mesozoic birds. Proceedings of the Royal Society of London, Series B (Biological Sciences) 272: 289-294.40. (2008年5月7日翻訳)
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