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【ニュースの履歴】

始祖鳥は木に止まれなかった - 2005年12月6日 -

 サイエンス 12月2日号発表の論文です。

 10番目の始祖鳥標本「サーモポリス標本」についてG. Mayrらが詳しく調査したところ、始祖鳥の脚について下記のことが明らかになりました。
(1)始祖鳥の脚の「親指」は非鳥類型恐竜と同様の構造であり、木の枝を掴める脚ではなかった
 まず第一に、この形質により非鳥類型恐竜と始祖鳥の類縁関係がより強化された、ということになります。

 もう一つこの事実からわかるのは、「始祖鳥は木の枝に止まれなかった」ということです。
 現生鳥類の多くは親指が他の指と対抗してついているため、木の枝を掴んで止まることができますが、始祖鳥の親指は他の指と並列についているため、木を掴むことができないのです。つまり、木の枝に止まったり、そこから滑空する始祖鳥と言う復元図は「木の枝に止まるタンチョウヅルの絵」と同様、誤りと言うことになります。
 当時のゾルンホーヘンの植物相(干潟で高木が存在しない)を考慮すると、樹上から滑空していた可能性は非常に低いことが以前から指摘されていましたが、今回の発見はそれを裏付けるものとも言えます。

(2)始祖鳥の脚の第2趾は自由に回転する
 恐竜に興味があるかたならばご存知だと思います。これは肉食恐竜、ディノニコサウルス類(有名どころでは映画「ジュラシック・パーク」に登場したヴェロキラプトル)の特徴です。
 つまり、この発見によりディノニコサウルス類と始祖鳥の類縁関係がより強固なものになった、ということになります。

参考リンク:サイエンス 日本語版ハイライト



【筆者コメント】

※10番目の始祖鳥
 「今まで見つかった始祖鳥は全部で7体と羽毛化石じゃないの? どの資料、どこのサイトを見てもそう書いてあるのに、今回発表されたのが10番目というのはどういうこと?」
 そう思われた方も多いと思います。
 今回の標本がなぜ10番目かというと、科学的に研究される前に行方不明になった「Workerszell標本」、および個人所有のため研究されていない「オットマン&シュタイル標本」と言う2体の未記載標本──学問上は未だ存在しない標本──が存在するからです。私の知る限りの資料、および英語圏の始祖鳥サイトの全てがこの2体をナンバーから外していますが、あえてそうしているのは前述の理由からだと思います。

 ただし、今回の発表を受けて、当地はこれらも標本の解説に追記することにしました。解説はこちら[確認されている標本]をどうぞ。

※新聞報道の誤謬
「始祖鳥が鳥でなくなる」といった趣旨の新聞報道がありますが、これは誤りです。
 分岐分類上、鳥と鳥以外の恐竜(マニラプトラ類など)の境界は「始祖鳥」それ自体なので、始祖鳥が鳥でなくなるということはないのです。(正確に言えば「始祖鳥と現生鳥類の共通祖先以降の生き物」が「鳥」と定義されています。)
 思えば新聞報道に憤慨して記事を書くのは「中国産羽毛恐竜(アーケオラプトル)の捏造事件」以来のことですね。

(追記)
 根拠として一次資料をあげておきます。この論文は「始祖鳥にディノニコサウルス類と共通の特徴が見つかった」ことについて言及していますが、「始祖鳥は鳥ではなく恐竜だった」という意味のことは一言も言及していません。
サイエンス 日本語版ハイライト
 新聞報道のセンセーショナリズムには正直うんざりします。

始祖鳥の脳は飛行用? - 2004年8月6日 -

 NATURE 8月5日号発表の論文です。

 始祖鳥はどの程度飛べたのかという古くからの問題を解決するため、ANGELA C. MILNERらは始祖鳥の頭蓋骨にCTスキャンを行ないました。
 その結果、始祖鳥の脳は視覚をつかさどる領域が大きいこと、バランスと空間把握にとって重要な内耳の構造も発達しているなど、現生鳥類に近い特徴をもっていることが判明したとのことです。
 この事実は始祖鳥の脳は飛行に適したものであり、始祖鳥が飛べたことを示唆するものだとMILNERらは主張しているとのことです。



【筆者コメント】

 いまのところアブストラクトしか読めない状態なのでなんともいえないのですが、何と比較して現生の鳥に近いと言う結論を導いたかによってこの論文の示す結果は全く異なってくるはずです。中国義県層の羽毛恐竜群のうち、飛行不可能と思われるグループと飛行可能なグループとに分けて、それぞれを始祖鳥の脳のデータと比較してみない限り『飛行に適した脳かどうか』の判断はできないのではないかと思います。
 いくつかの証拠から筆者自身は始祖鳥は飛べたと考えていますが、この論文については今のところ様子見の立場です。



始祖鳥は4枚羽根だった? - 2004年5月26日 -

 四枚羽根の恐竜としてミクロラプトル(Microraptor Gui)がひところ話題になりました。
 これは後肢の脛の部分にも羽があるという特異なシルエットを持つ恐竜で、両手両足の羽を使って滑空する復元図を見られた方は多いと思います。(※1)
 ところが、実は始祖鳥も脛に羽毛を持っていた可能性が高いことが、ChristiansenとBondeによる論文によって明らかにされました。

引用元:Fig.3 / Comptes Rendus Palevol, vol 3, (2004)101
引用元:Fig.3 / Comptes Rendus Palevol, vol 3, (2004)101

 Comptes Rendus Palevolで発表されたこの論文の中でChristiansenとBondeは、始祖鳥(Archaeopteryx lithographica)のベルリン標本について調査し、脛部の周辺に羽毛の痕跡があることを示唆しています。
 ただし、ミクロラプトルとは違い、空力的に効果を得られるようなものではなかったとのことです。

 今後の始祖鳥の復元スタイルに影響がありそうな論文です。
 日本語に翻訳しようかとも考えたのですが、量が多いため、今回は翻訳をあきらめました。

 興味のある方は下記の論文をどうぞ。
 Body plumage in Archaeopteryx: a review, and new evidence from the Berlin specimen
 Per Christiansen, Niels Bonde
 Comptes Rendus Palevol, vol 3, (2004)99-188

【注釈】
※1 四枚の翼を使って飛行
 四枚羽根の恐竜・ミクロラプトル(Microraptor Gui)の復元図はなぜか四枚の羽根を地面と平行にして使っていますが、筆者はあの復元図には異論があります。

 あの姿勢で同じ効率で揚力を発生すると仮定した場合、揚力の中心が重心よりもはるか後ろになってしまいます。勿論、翼断面や迎え角で揚力はある程度調整できますが、あの飛行形態で後ろの翼を使うためには、わざわざ前の翼の効率を落とさないとバランスが取れないのです。
 また、あのような向きでついている以上、迎え角の調整は困難ですので、水平安定板としても役には立ちません。  ですから、後肢の羽毛はむしろ垂直安定板として役立った(立てるか斜めにして使った)と考えるのが妥当ではないでしょうか。

始祖鳥は地面効果(WIG)による飛行者であった? - 2002年11月19日 -

 英国鳥類学協会の論文雑誌『IBIS』10月号に、始祖鳥が地面効果(※1)を利用した飛行者であったという仮説が論文として発表されました。
 発表者はCork大学のO'FARRELL, DAVENPORT, KELLYです。

 彼らの主張によると、始祖鳥をWIG(※2)と仮定することによって、始祖鳥の飛翔筋が弱い理由、長い尾を持っている理由などが合理的に説明できるとのことです。根拠としては以下の通りでした。

(1)飛翔筋が現生の鳥と比べて弱い
 しかし、地面効果を積極的に利用し、低空を『這い回る』飛び方をするなら問題はありません。
(2)巨大で、十分な揚力を発生する尾羽を持っている
 始祖鳥の尾羽は、地面効果発生時にピッチングを押さえ、縦方向の安定性を増すためではないかと彼らは主張しています。実際、人工のWIGは、水平尾翼が巨大になる傾向があるようです。
(3)始祖鳥が生息していたゾルンホーヘンは平坦な干潟であり、木などは存在しなかった
 始祖鳥が生息していた環境は、地面効果を利用するためには絶好の空間であったと言うことです。
(4)飛行能力に優れた翼竜が始祖鳥と同時期に存在していること
 始祖鳥は超低空飛行者であったため、翼竜とニッチがかちあわなかったとのことです。


 非常に興味深い論文でしたので、日本語に翻訳してみました。よろしければご覧ください。

翻訳『始祖鳥は地面効果による飛行者であったか?』▼2002年11月19日翻訳

【筆者コメント】

 実は8月末に[始祖鳥はWIGの始祖でもあった?]を記事として追加していたのですが、まさかその2ヶ月後にそのものズバリの論文が出るとは思いませんでした。(^v^;

 これを機に、多くの人が誤解している『木に止まる始祖鳥』『樹上から滑空する始祖鳥(笑)』(※3)などの誤ったイメージが一掃されることを希望しています。


【注釈】
※1 地面効果(Ground effect)
 航空機が地面または水面近くを飛ぶ場合、水平飛行のために要求される推力と誘導効力(induced drag)が減少します。要は地面や水面すれすれ少ない力で飛ぶことができるようになるわけです。この現象を地面効果と呼びます。
 地面効果影響下では、鳥はその力の最大35%を節約できるそうです。

※2 WIG(地面効果翼)
 地面効果を積極的に利用した翼、またはそれを装備した乗り物のことを指します。原理上、船よりも高速に、飛行機よりも大量の荷物を運ぶことができますが、現状、縦の安定性(機種の上下)が大きな問題であるそうです。地面効果に入ったときと抜けるときで、機首が上下にはげしく振れるためです。対策としては、飛行機の水平尾翼に当たる部分を大きくすることがありますが、始祖鳥の長く巨大な尾羽は、この縦安定に対する解答ではないかと言うのが今回の仮説です。

※3 樹上から滑空する始祖鳥
 非常にポピュラーな誤解で、いまでもよく樹上から滑空する始祖鳥のイラストを目にしますが、現在わかっている限りにおいて、樹上ということはまずありえません。 そもそもゾルンホーヘンには高木はなかったと思われます。当時のゾルンホーヘンは干拓前の諫早湾のような、平坦な汐干潟でした。



ゾルンホーヘン標本は別種? - 2001年9月29日 -

 ポーランドの論文雑誌『ACTA PALAEONTOLOGICA POLONICA』に、始祖鳥のゾルンホーヘン標本(第6標本)は新属新種であると言う論文が発表されました。発表者は、ウロツラフ大学のAndrzej El?anowski(?は点が二つのi)で、ゾルンホーヘン標本は、この論文中でWellnhoferia grandisという種名を与えられています。
 内容梗概によると、ゾルンホーヘン標本を新属新種とした根拠は以下の通りとのことです。

(01)尾椎骨は16から17個と推定される(他の標本(21個)に比べて短い)
(02)第2指と第4指が対称形であり、第2・第4中足骨の長さが等しい
(03)第4指の趾骨が4個であることは(5個ではない)、系統発生上の減少と考えられる
(04)他の標本よりも体が大きいこと(ゾルンホーヘン標本は始祖鳥の中で最大の標本です)、恥骨の形状に違いが見られることから、始祖鳥とは違う行動様式であったと考えられる

【このニュースについて】
 わたしの所感としては、このニュースについてはいくつかの疑問を持っています。

 まず(01)については、ゾルンホーヘン標本の総尾椎数を16から17個と推定した根拠が不明です。15個目以降の尾椎骨が破損しているゾルンホーヘン標本の尾椎数をどのように推定したのかについては内容梗概に書かれていませんでした。

 また、(02)第2・第4中足骨の長さ~と(03)第4指の趾骨が4個に減少~が両立するのはどうも不自然です。むしろ第4指の趾骨は、本来5個あったものが失われたと考えたほうが自然な気がします。

 さらに(04)の大きさの違いですが、一定の大きさに達した以降も少しずつ成長しつづける動物にとって、この程度の大きさの差異は本質的な問題ではないと思います。(始祖鳥は現在の鳥と比べると爬虫類的な成長パターンをとっていたと考えられています。)かつてアイヒシュテット標本を新属新種のジュラプテリクス(Jurapteryx)とする解釈が否定された根拠のひとつに、この成長パターンの問題がありました。

 これらについて納得のいく説明がなされているのかどうか、当面は続報を待ちたいと思います。

【注釈】
※1 ジュラプテリクス(Jurapteryx)
 15年ほど前に、最小の標本であるアイヒシュテット標本(Eichstatt specimen)が、新属新種であるという論文が発表されたことがあります。この論文の中で、アイヒシュテット標本はジュラプテリクス(Jurapteryx)と言う属名を与えられました。しかしこの発表について議論がおこなわれた結果、アイヒシュテット標本は始祖鳥(Archaeopteryx lithographica)の幼鳥であるということで議論は終息しています。

アーカエオラプトルに合成化石の疑い - 2000年1月19日 -
 1999年10月17日のニュースで紹介した『飛行能力を持つ恐竜』アーカエオラプトルは合成化石であった疑いが持たれています。
 Science News Onlineの2000年1月15日の記事によると、アーカエオラプトルの尻尾の印象が別のドロマエオサウルス科の標本と寸分たがわず一致したとのことで、鳥の体にドロマエオサウルス類の尻尾をつけたキメラだった可能性が高そうです。古生物界では『ピルトダウン』以来のスキャンダラスな出来事ですね。

※注1 『贋作』『フェイク』という表現は誤解をまねく恐れがあるため、それぞれ『合成化石』『キメラ』にあらためました。(2000年4月19日)

※注2 この記事がとりあげている『アーカエオラプトル』は、始祖鳥(アーカエオプテリクス)とは別の動物です。(2000年11月10日)

特集・アーカエオラプトル贋作騒動について▼2000年4月19日執筆

飛行能力を持つ恐竜 - 1999年10月17日 -
 題記の恐竜の名は以下のとおりです。

 アルカエオラプトル・リアオニンゲンシス Archaeoraptor liaoningensis
 【語源】arkhaios (古代の:ギリシア語) + raptor(略奪者、猛禽類:ラテン語)
    種名の『liaoningensis』は遼寧省(liaoning:地名)のことでしょう。

 そして、この発見に関わったかたです。
  Philip Currie, curator of dinosaurs, Royal Tyrrell Museum, Alberta, Canada
  Xu Xing, paleontologist, Institute of Vertebrate Paleontology & Paleoanthropology,Beijing
  Stephen Czerkas, scientific sculptor and director, the Dinosaur Museum, Blanding,Utah

 日本の新聞報道では、英語読みの『アーケオラプター』として報道されています。始祖鳥(Archaeopteryx)はもちろんですが、もっとも原初的とされる恐竜『エオラプトル(Eoraptor Sereno:eosはギリシア語で『夜明け』の意味です)』を連想させる名前ですね。10月15日に全米地理学会(National Geographic Society)のプレスリリースで発表されたそうです。ことが古生物となると新聞報道の確度はかなり疑わしいので、ナショナル・ジオグラフィックのサイトを直接当たってみました。インターネットは素晴らしいですね。
 この発見については、下記の記事と、その周辺リンクにもっとも具体的な記述があります。

『Archaeoraptor, which lived more than 120 million years ago, had a dramatic combination of physical characteristics -a very advanced, birdlike shoulder structure, wishbone and big sternum- all indicating the animal was a powerful flier.』
Press Releases @ nationalgeographic.comより引用)

 つまり『生息年代は1億2000万年以前』ということです。この前段で産地は中国遼寧省であるという記述がありましたから、発掘地は例によって義県層ではないかと思います。(ただし記事中には『Chaomidianzi Formation』『Beipiao area』という単語は出てきませんでしたから、これはわたしの推定です。)また、この恐竜が飛行可能とした根拠は、『鳥に似た肩の構造と叉骨、および巨大な胸骨』によるそうです。肩の構造がどの程度鳥に似ているのかは、実際にスチールを見てみないとなんとも言えません。ドロマエオサウルス科の肩も十分鳥に似ているからです。ただ、明確な叉骨と飛行に必要なだけの筋肉が付着できる巨大な胸骨があったというのなら、やはり飛べたと考えるのが妥当でしょう。
 この後段には、もうひとつの特徴として『ドロマエオサウルス科と似た尾の構造を持っている』ことがあげられていますが、具体的にどのように似ていたかについては記述がされていません。おそらくアルカエオラプトルの尾は、腱で固められ、根元から曲がる構造をしていたのではないかと思うのですが、これも筆者の推定です。
 『進化した特徴と原初的な特徴をモザイク的に持っている』そうですが、これについても具体的な言及はありません。(;_;)
 さらに、どういう種類の恐竜に近縁なのか(あるいは分類されるのか)ということについても記述をみつけられませんでした。
 Caudipteryxの時のようにNATURE誌が関わっていたなら、より詳細な情報が得られたと思うのですが、残念なことに今回はあまり詳しい情報が入ってきません。ことの詳細は、ナショナル・ジオグラフィックの来たるべき1999年11月号を待つのがもっとも確実でしょう。

繊維状の外被をもつドロマエオサウルス類の恐竜 - 1999年9月16日 -
 『ネイチャー』1999年9月16日号で発表された論文です。
 題記の恐竜の名は以下のとおりです。

 シノルニトサウルス・ミレニイ Sinornithosaurus millenii
 【語源】Sinai (オリエントの(中国の):ギリシア語) + ornith, ornis(鳥の:ギリシア語) + saurus (トカゲ:ギリシア語)
     mille(数字の1000:ラテン語) ※筆者注:この場合、milleniiとは千年紀(ミレニアム)の意味だと思います。

 このシノルニトサウルスは、日本の報道では『中華鳥竜』と表記されているようです。ただ『中華竜鳥』と呼ばれていた恐竜『シノサウロプテリクス』をあくまでも恐竜であるという見地から『中華鳥竜』と表記する文献も増えてきているので、しばらくは名称表記に混乱が続きそうです。このホームページでは混乱を避けるため、名称定着まで学名のカタカナ読みを使うことにします。

 論文によると、発掘場所は中国義県層、生息年代の推定は下部白亜系(probably Early Cretaceous)とのことです。
 この発見の要点は以下のとおりです。

(1)ドロマエオサウルス科の標本としてはおそらく知られる限り最古のものと考えられる
(2)全身に羽毛様組織の印象がある
  羽毛といってもわたしたちが知る羽毛とは違い、シノサウロプテリクスに見られる剛毛状の組織です。
(3)肩帯の構造は羽ばたき飛行をおこなうための前適応条件を満たしている
  これはグラウンド・アップ仮説にとって有力な証拠です。(鳥の飛翔の起源は『木から飛び降りたことではなく、地上を高速で走ることにあった』とする説のことです。)
(4)始祖鳥に似た叉骨を持っている
  胸骨と肩甲骨をつなぐもので、はばたき飛行を行なううえで重要な骨です。

 まだ書くべきことは多いのですが、ここまで書いて力尽きてしまいました。反響があれば続きを考えます。(^^;

始祖鳥は滑走して離陸できた - 1999年5月6日 -
 『ネイチャー』1999年5月6日号で発表された論文です。
 始祖鳥は高いところから滑空することしかできなかったという説があります。大きな理由の一つとしては、始祖鳥が走って出せる推定最大速度(秒速2メートル)と離陸できる速度(秒速6メートル)の間には『秒速4メートルの空白』があったためです。
 これに対して、今回シミュレーションをおこなったところ、『始祖鳥は翼の力を積極的に使うことで地上から走って離陸できる』という結果を得られたということでした。

始祖鳥にもあった『含気性』 - 1998年10月24日 -
 『ネイチャー』1998年10月24日号で発表された論文です。
 現生の鳥類は、体内に(骨の中も含む)空気の袋『気嚢』を持っています。  これがあることで体を軽くできることはもちろんですが、呼吸能力を向上するというもうひとつの利点もあります。
 いままでは始祖鳥には『含気化(pneumatization)』はなかったとされていましたが、この論文によると、始祖鳥の頭部後方の頸椎と前胸椎に含気性が見られたとのことです。




【過去の更新履歴】

更新履歴
 【主要論文の内容梗概の翻訳】『鳥類における爪のスケーリングについて』のアブストラクトを追加しました。
2007年9月21日
 フレッド・ホイルらによる始祖鳥贋作説と大英博物館の反論を対照した表を掲載しました。
2007年9月12日
 フレッド・ホイルらによる始祖鳥贋作説に対するリーチェル教授の反論『False forgery(贋作にあらず)』の全訳を掲載しました。[参考文献・論文]
2007年9月6日
 ものすごい勢いで一次資料への参照性を改善中です。[参考文献・論文]
2007年2月4日
 【主要論文の内容梗概の翻訳】を新設しました。
2007年2月4日
 図版【始祖鳥の化石一覧】を新設しました。
2007年2月4日
 サイエンス日本語版ハイライトがリンク切れのため、WebArchiveへのリンクに変更しました。
2007年2月4日
 図版【特徴】に追記しました。
2007年2月4日
 サイエンス日本語版ハイライトがリンク切れのため、WebArchiveへのリンクに変更しました。
2007年2月4日
【重要】『確認されている標本』の記述の誤りを修正しました。従来の『マックスブルク標本』という表記は『マックスベルク標本』の誤りでした。
 これは当地開設以来(1998年12月)の誤りで、その結果、現時点でのネット上では誤記のほうが多数派となっているようです。
 (誤記のヒット数930件,正しいほうのヒット数189 件:GOOGLEにて2007/1/17検索)
 当地を参考になさっていた皆様にお詫び申し上げます。
2007年1月17日
『確認されている標本』の記述を追加しました。
2006年7月5日
『確認されている標本』の『オットマン&シュタイル標本(シュタインベルク標本)』について表記の誤り、綴りの誤りを修正しました。
2006年6月13日
ドイツ語表記の誤りを修正しました。デモステネスさん、ご指摘ありがとうございました。
2006年5月30日
Internet Explorerで表示した場合にも文字が見やすいようにスタイルシートを導入しました。
2006年5月29日
『特徴』に追記しました。
2005年12月9日
『始祖鳥化石と鴈作騒動』に追記しました。
2005年12月9日
『ニュース』『始祖鳥は木に止まれなかった』を追加しました。
2004年12月6日
『確認されている標本』に『ワーカーセル標本』『オットマン&シュタイル標本(シュタインベルク標本)』『サーモポリス標本』を追加しました。
2005年12月6日
『特徴』に追記しました。
2005年12月6日
『ニュース』に『始祖鳥の脳は飛行用?』を追加しました。
2004年8月6日
『ニュース』に『始祖鳥は4枚羽根だった?』を追加しました。
2004年5月26日
『特徴』に注釈を追加しました。
当地の『直系の祖先ではない』という文言は誤解されることが多いようですので、それに対する補足です。
2002年8月31日
『始祖鳥はWIGの始祖でもあった?』を新設しました。
イラストでは高い木々の間を飛びまわっている始祖鳥ですが、当時の産出場所の生息環境を考えると、この復元にはかなり無理があるのですよね。
2002年8月29日
『参考文献』を新設しました。
2001年10月1日
『確認されている標本』に、ジュラプテリクス(Jurapteryx)についての解説を追加しました。
2001年9月30日
『最近のニュース』に、『ゾルンホーヘン標本は別種?』を追加しました。

※11ヶ月ぶりの更新となってしまいました。このページもこの1年近くの知見がすっぽり抜け落ちている格好になっていますが、徐々に補完していこうと思っています。今後とも当地をよろしくお願いします。
2001年9月29日
『始祖鳥に関するリンク』を一件追加しました。2000年11月14日
始祖鳥のサイズをシルエットでカラスやハトと比較する記事、『始祖鳥の大きさについて』を追加しました。始祖鳥の大きさについては誤解が多いのですが、この記事が具体的な大きさをイメージする一助になればさいわいです。2000年5月20日
特別企画として『アーカエオラプトル贋作騒動について』を追加しました。 2000年4月19日
『最近のニュース』のバックナンバのページを追加しました。 2000年3月15日
『最近のニュース』に、『アーカエオラプトルに贋作の疑い』を追加しました。 2000年1月19日