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始祖鳥の生痕(落書き)




第1回『ナナミちゃん』
(名作劇場「七つの海のティコ」より)
1998年1月27日執筆
第2回『ティコ・ジュニアとナナミちゃん』
(名作劇場「七つの海のティコ」より)
1998年5月11日改稿
第3回『ブリーチングするティコ』
(名作劇場「七つの海のティコ」より)
1998年9月18日執筆
第4回『ペペロンチーノ号について』
(名作劇場「七つの海のティコ」より)
1998年12月24日執筆
第5回『ヒカリクジラの骨のこと』
(名作劇場「七つの海のティコ」より)
1999年4月5日執筆

番外・1『普通海賊キャプテンナナミ』 1998年10月18日発掘


『ペペロンチーノ号について』
1998年12月24日執筆

 今回のお題は『世界名作劇場』枠の海洋冒険物TVアニメーション『七つの海のティコ』より、ペペロンチーノ号です。

ナナミちゃん

今回も例によって、『鉛筆描き→スキャナ取り込み→X68000で彩色』という手順で描きました。
 実は今回の落書きは、える さんのホームページ、『white snow town』に、1000カウント記念で寄贈したものと基本的に同じものです。(違うのは文字が入っていないことと、縮小していないことだけです。)

ナナミちゃんといえば、豪華客船にのってドレスを着る話が好評のようですね。でも、わたし的には、普段の『Tシャツにキュロット』のほうがかわいいと思っています。だいたい、ドレスを着ていては、足が見えないではありませんか。ナナミちゃんは、足(全身)を描くことで、絵的にまとまるキャラクターのような気がするのです。

次回は日本を訪れる話から題材をとって、縁側に座ったスコットのわきで、線香花火をしているナナミちゃんを描いてみたいな、と思っています。この文章を書きながらも頭の中でイメージが固まってきています。このコーナーに掲載できるまで、それほど時間はかからないかもしれません。

さて、今回は、『七つの海のティコ』のペペロンチーノ号について、資料検討の結果、明らかになったことをまとめてみました。

『ペペロンチーノ号』

全長19m   (推測値)
全高15メートル(推測値:マスト含む)
排水量90トン (推測値)

 LD第1巻の映像特典では、ヨーロッパのどこかの港のドックで完成し、そこから出航したことをにおわせています。これによると、スコットとアルはペペロンチーノ号の完成前から知り合いだったようです。

【特徴】
 砕氷船を改造した船体に、観測を目的にした高いブリッジ、船体後部に巨大な作業用クレーンを1基装備した、印象的なシルエットをもつ船です。

 エンジンが強力なうえに、喫水は比較的浅めで、船足はかなり速いようです。(第3話、第4話参照)しかし、喫水が浅い船体に高いブリッジという構成は、見るからに不安定です。荒天下の操船はむずかしそうですが、そこはスコットとアルの操船技術でカバーしているのでしょう。

【機関】
 船体中央、煙突の直下にある機関室に、直列6気筒のディーゼル機関を搭載しています。インチシステムのネジを使っている(※1)ところから、このエンジンの正体は、どうやらアメリカ製(BSインチならイギリス製)のようですね。

【駆動系】
 駆動軸は船倉の下をくぐって船尾に導かれ、船尾から垂直におりています。どうやらペペロンチーノ号の推進器は、タグボートのように能動的に推力方向を変えられるしくみのようです。ただしスクリューは1基しかないため、タグボートのような横進はできませんが、それでも同級の船よりも小回りがきくことは間違いありません。

【艤装】
 左舷前方にダンフォース型のアンカーを装備しています。

 ブリッジには舵輪、電探(レーダー)、羅針盤、投光器が装備されています。
 スペースを節約するためでしょうか、無線機のマイクとスピーカーは水中電話と共用しています。
 マスト頂部に見える円盤形の装置はレーダーアンテナです。マスト上部の降雨集積装置は忘れ去られてしまい、登場した第2話以降、作中では2度と使われませんでした。

【その他】
 船倉内に水を供給する配管が通っています。わざわざこのような低い位置に配管を通すというのは、設計上の理由で上部にパイプを通せなかったためでしょうか。
 元が砕氷船ということで、最前部と最後部に砕氷時の姿勢維持用の水タンクがありそうですが、配管の位置はこのからみによるものかもしれません。

 オーブンはガスで動くものですが,どうも調子は良くありません。また、冷蔵庫は,ナナミちゃんの台詞(第1話)によると、『ちゃんと冷凍ができない』もののようです。

 一般家庭用の電球が点灯したり、トーマスのパワーブックが恒常的に動いている(※2)ところから推測すると、電気系統は少なくとも110Vを供給できるものであるはずです。

海洋冒険ものが、ほかの種類の冒険ものと決定的に異質なところは、それが構造的に『日常性』を備えている点でしょう。『船』は冒険の舞台であると同時に、日常生活の場でもあるのですね。

 海洋冒険ものとして『日常』『非日常』の釣り合いを思うに、『七つの海のティコ』は、後者に重心があるように感じます。  豪華客船の話や、アルのおばあさんの話、シェリルの父親が登場した北海油田の話、ナナミちゃんの母親の話――『非日常』の視点から『家族(日常を代表するもの)』をかえりみる話に、印象にのこるものが多かったと思います。
 そして、ペペロンチーノ号の乗組員そのものも『家族』として描かれていましたね。

 さらに欲をいえば、トーマスと父親との確執をさらに掘り下げて描写してほしかったです。もしそうならば、これはクライマックスを盛り上げる絶好のカードになったことでしょう。
 いっそ『外伝』を描こうかしらん。

【注釈】
※1 ペペロンチーノ号のエンジンはインチシステム
 第13話で、アルが『2インチのスパナを取ってきてくれ』と言っています。

※2 トーマスのパワーブックが恒常的に動いていた
 もちろん12/24Vの変換アダプターがあるなら、船のバッテリーからノートブックPCを動作させることはできます。ただ、かれが電圧変換器を持っていたとは考えにくいのです。
 (トーマスのかつての乗船『スコーピオ号』では、デスクトップ型のコンピュータがCRTともども稼動していました。つまり、トーマスは家庭用交流電源をそのまま使える環境にいたはずです。)



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