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始祖鳥の生痕(落書き)



第1回『ナナミちゃん』
(名作劇場「七つの海のティコ」より)
1998年1月27日執筆
第2回『ティコ・ジュニアとナナミちゃん』
(名作劇場「七つの海のティコ」より)
1998年5月11日改稿
第3回『ブリーチングするティコ』
(名作劇場「七つの海のティコ」より)
1998年9月18日執筆
第4回『ペペロンチーノ号について』
(名作劇場「七つの海のティコ」より)
1998年12月24日執筆
第5回『ヒカリクジラの骨のこと』
(名作劇場「七つの海のティコ」より)
1999年4月5日執筆

番外・1『普通海賊キャプテンナナミ』 1998年10月18日発掘


『ヒカリクジラの骨のこと』
1999年4月5日執筆

 今回は『世界名作劇場』枠の海洋冒険物TVアニメーション『七つの海のティコ』より、線香花火をするナナミちゃんとシンプソン・パパです。


シンプソン・パパとナナミちゃん

はじめてタブレットを使ってみました。はじめて Photoshop-LE を使いました。さらにいえば、はじめてX68000を使わずにしあげた落書きでもあります。難しかったです。
 X68000で描きなおすかもしれません。

日本編はよかったですね。ナナミちゃんがスコットと海沿いの坂を登っていくシーンと、線香花火をしていたシーンが印象に残っています。
 いいですね、この親子。

次回はアルとトーマスを描こうと思っています。――とか言いながら、『ブッシュベイビー』のジャッキーを描いてしまう可能性もあるので、そのときは叱ってやってください。

さて、今回のおはなしは、『ヒカリクジラの骨』についてです。

 『ティコ』第一話の終わりのシーンですが、ティコがくわえて持ってきた光る骨を、スコットは一瞥しただけで『ヒカリクジラの骨だ(※1)』と同定してしまうのです。(※2)
 欠損もありませんでしたから、あの骨はもともとあのかたちだったのでしょう。クジラの骨で、あの大きさでああいう形をしたものといえば、指骨くらいしか思い当たりません。それも、クジラのものであるという前提が与えられてのこと。(※3)
 鰭脚類の可能性もあります。発見したのは湾内ですから、骨の持ち主は陸棲動物かもしれません。
 これが耳骨だったら疑いようもなくクジラとわかるのですが、指骨一本だけで、しかも一瞥しただけでクジラを同定できてしまうという事実は、スコットが優秀な海洋生物学者だということをしめしているのでしょうか。

 でも、個人的には耳骨のほうがそれらしかったような気がします。

ヒカリクジラといえば、船長室に飾られている絵も、かなり正確に描かれていました。  絵のなかのヒカリクジラはザトウクジラ(Megaptera novaeangliae ※4)をそのまま光らせたようなプロポーションをしていましたから、あの時点ですでに、スコットは両者が近縁であるという証拠をつかんでいたことが、ここからもわかります。
 シンプソン・パパ、おそるべし。

『ティコ』の最終回のヒカリクジラは、実体をもった動物としてのクジラではありませんでした。あとから超自然的なものをすえつけたためにそこだけ塗料が違ってしまっているような印象を、わたしはずっと持っていたのですが、ふと、あることに思い当たりました。
 ヒカリクジラの長老との対話は、ナナミちゃんの主観で描写されています。話の内容を聞いているとクジラの長老は『こうあってほしい』とナナミちゃんが望んでいたことをそのまま言っているようでもあります。製作側の意図は違っていそうですが、『長老』は彼女が望んだまぼろし、『老賢人』だったのかもしれません。

 あるいは、長老の言葉は見方を変えると、スタッフがナナミちゃんをねぎらっているようにも聞こえます。
 ヒカリクジラの長老はスタッフにかわって『一年間、おつかれさま』と言っていたのかもしれませんね。

【注釈】
※1 ヒカリクジラの骨
 いわゆる『マンガで犬がくわえている骨』、あるいは『はじめ人間ギャートルズに登場するマンモスの肉についている骨』のかたちをしていました。マンガ的記号としての『骨』は今も昔もかわらないようです。
※2 クジラの同定
 クジラの同定はどういう方法をとるのかは詳しくは知りませんが、少なくとも化石からクジラを同定する場合は、頭骨でおこなうのが普通です。
※3 標本の検討
 GMC経由でルコントの手に渡った資料は(先端部分とはいえ)クジラヒゲでしたから、これはすぐにわかりそうですね。
※4 ザトウクジラの学名
 学名のMegaptera は、ギリシア語で『巨大な翼』のことです。やはりあの前鰭はインパクトがあるのですね。



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