[始祖鳥生息地へ]

祖鳥のさえずり
(1998年11月4日(水)~1998年11月30日(月)執筆分)

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 落ちも構成もない散文的な文章を垂れ流しにさせていただく連載コーナーです。

西暦1998年、すでに人類は、『日記共同体』を結成していた。
『配続日記』
by 一歩さん
『雑騒鬼』
by ぴか さん
『月の裏側』
by luna さん
『ありあり雑記』
by 海野さん
『日記共同体』はインターネットの奥深く秘密裏に作られ、
冷静沈着なピカレイカー司令官の呼びかけのもと、
日夜、謎の訪問者UHO(※1)を歓迎し続けるのであった。

 訪問者歓迎の準備は、できた。
※1 UHO :『アンディファインド訪問者』の略。


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第228回『お久しぶりです』 1998年11月4日(水)執筆
第229回『光学機器によろめく』 1998年11月7日(土)執筆
第230回『空をあおぎみた午後』 1998年11月8日(日)執筆
第231回『盗人、襲来』 1998年11月10日(火)執筆
第232回『すこし思うこと』 1998年11月11日(水)執筆
第233回『PCを発掘』 1998年11月14日(土)執筆
第234回『みぞれの降る夜』 1998年11月20日(金)執筆
第235回『まちがえた』 1998年11月29日(日)執筆
第236回『被子植物化石について』 1998年11月30日(月)執筆


[目次]
『お久しぶりです』
1998年11月4日執筆

前回に眠さを訴えたきり、2週間更新が途絶えておりました。
 といっても眠り続けていたわけではありません。当地の読者のみなさまには、大変ご心配をおかけしました。

 たいへん遅れましたこと恐縮ですが、いただきましたメールのお返事は2日以内にいたしますので、どうぞよろしくおねがいします。

なんで今まで2回しか登場していない妹の受けがいいのか、兄としては、たまにしか登場しないドラミちゃんにことごとくおいしいところを持っていかれるドラえもんの気分です。
 くそう。

 ここのところ、妹は『パンチ・ザ・モンキー』がお気に入りのようです。
 わたし的には曲のアレンジそのものは実にすてきだと思うのですが、ピストルの『バキューン』という効果音が繰り返されるくだりで『天才バカボン』の『ホンカン』を想起させられてしまい、どうにもいけません。
 さらに彼奴めはホームページをつくるとのたまっており、HTMLをなにかしていますが、とんでもない筆無精なので、実現は当分先でしょう。

とりあえず、この10日間の近況です。

10月24日(土)単車が盗まれかける

 この日の早朝に、家の前に止めておいた単車が盗まれかけました。
 さいわい、家から30mくらい坂を登った道路の中央に放置されていたのを発見しましたが、ブレーキレバーが根元から折れ、右側のステップが歪んでいました。
 状況証拠から考えるに、犯人氏は、単車を引きずっていく過程で右側に車体を転倒させてしまい、あわてて逃げ出したものと考えられます。
 家の前に止めておいた単車が盗まれかけたのは今回がはじめてです。
 いやはや、こんな山の中まで単車泥棒が来るようになってしまったのですね。

 盗まれることそれ自体はいいとしても、わたしの車体で事故を起こされたり、死なれたりするのは腹立たしいので、今後は単車の管理を厳重にしようと思っています。

25日(日)デモステネスさん来仙する

 午前7時頃、FSFのデモステネスさんが来仙されました。車でお迎えにあがり、さっそく松島まで直行します。松島水族館(イロワケイルカのオスが発情していた)、斎藤報恩会自然史博物館、仙台市科学館とまわり、夜は飲み会で一日を終えました。

 創作ネタにも関わってきそうなので、話の内容はここでは伏せますが、やはり『Q』の最高傑作は『潜水艦になる仕掛け付きロータス・エスプリ』ですね、デモステネスさん。かれはマッド・サイエンティストならぬマッド・エンジニアの代表格であると思います。

28日(水)NTT専用線不通になる

 この事故から連想したのが、毒ヘビやサソリやフグやイソギンチャクの持つ神経毒でした。これらの毒の特徴は、細胞そのものを破壊するのではなく、動物の持つ信号伝達系を狂わせる点です。複雑で巨大な生き物は絶対的な性能は優れていますが、複雑であるゆえに、信号伝達系への依存度が非常に高くなります。その弱点をついたのが、彼らのもつ神経毒なのです。ですから、神経毒には進化史からみてより複雑な(いわゆる『高等』な)相手に強く作用し、より単純な生物には効果を発揮しない傾向があります。

 生物の世界では、複雑なことは同時に弱点でもあるのですね。



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『光学機器によろめく』
1998年11月7日執筆

忙しくなってきました。この分だと2ヶ月後の給料から収支にいくばくかの余裕がでてきそうです。Canon の防振機構つきの双眼鏡と、Vixen の双眼実体顕微鏡のどちらを買おうか、迷っています。
 どちらも光学機器とはいえ、まったく用途のちがうもので迷うというのもおかしな話ですが、どちらも欲しいのが困ったところです。使用頻度を考えると、防振双眼鏡のほうを買うべきなのですが、自前の実体顕微鏡も欲しいのですよね。カメラを取りつけられるタイプがいいな。

 そんなわけで、検討のため駅裏の量販店に行ったところ、シュミットカセグレン式(※1)の天体望遠鏡に思わず目を奪われてしまいました。天体観測の趣味はありませんが、こういう機材をみると血がさわぎます。持ち運びに便利そうです。車があれば、移動天文台ができるかもしれませんね。でも、買いません。

ついでにノート型コンピュータのコーナーも見てきました。今のラップトップは薄くて軽いうえに性能もいいですね。価格も安くなっているような気がします。あたらしいコンピュータ(Libretto SS1000)の購入も少し考えましたが、コンピュータのハードウェアにお金を使うのはもったいない気がするので、購入は当分先送りですね。
 WWWブラウザが瞬時にたちあがったり、24bitフルカラーを使えたりする環境は魅力的ですが、現状のX68000 Compact-XVI(HD68000-16MHz) と、Libretto20(DX4-75Mhz:HDD2GB)で事足りていますから、これ以上を望むのは贅沢というものでしょう。

たった今、『ジェットストリーム』で、ニュージーランドのワナカが話題にのぼっていました。みんな、元気かな。

 南極クルーズの話をしています。インバーカーゴ(インバーカーギル)から数十キロ離れた港町、ブラフから出港し、南緯60度の荒天海域を抜けて、はるばる南極圏にたどりつきます。そこでゾディアック(インフレータブルボート)を降ろして、その辺の氷を集め、スコッチに浮かべて飲むのだそうです。
 世界一おいしそうな、スコッチ・オン・ザ・ロックです。

【注釈】
※1 シュミットカセグレン式天体望遠鏡
 前面からの入光を、鏡筒後部にある主鏡に反射させ、次に前面に配置した小さな副鏡で受け止め、それを鏡筒後部のファインダーで捕らえる方式の望遠鏡です。
 口径に対して鏡筒を短くできるという利点があります。光を折り返す構造なので、同口径の反射式に対して、鏡筒は半分の長さですむ理屈です。



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『空をあおぎみた午後』
1998年11月8日執筆

今日、愛機NSR『ティコ』の整備をしているとき、頭上1500ftほどを軽飛行機が横切っていきました。アブコ・ライカミングの水平対向エンジンの音を響かせながら、空に敷かれたレールの上を滑るように、街のほうに機種をめぐらし、飛んでいきました。
 感覚がざわめき、その直後に形容しがたい感情が体内を走ります。
 ヘリやジェット旅客機のタービン機の音を聞いてもどうということはないのですが、水平対向エンジンの音はどうにもいけません。自分は『飛ぶもの』だった、そして今はそうではない、ということを否応なく思い知らせてくれます。

 日本の空は規制も多く、飛ぶにしてもNZの5倍近いコストが相場です。軽飛行機の数も少ないため、操縦桿を握るまで何ヶ月も待たされることもあると聞きます。そんなこともあって、日本で飛ぶことはまったく考えていなかったのですが、それでも、あえて飛ぶことにしようか――とすこしだけ考えた午後のひとときでした。

わたしは、佐賀新聞新聞記事データベースは、データの蓄積量において、某新聞社の有料データベースをはるかに凌駕していることは間違いありません。非常に頼りになるデータベースであることはもちろんですが、なによりもすばらしいのは、このサービスが無料であるということです。。
 さすがは、幕末において、当時の世界最先端兵器であった『アームストロング砲』を国産化した佐賀県の新聞社です。

 このデータベースを使って、いつものように資料探しをしているときに、気になる記事に行き当たりました。国際日本文化研究センターの井上章一助教授のインタビュー記事です。以下にその一部を引用します。

  • 「例えば恐竜を復元するにしても、米国とロシアの学者では少しずつ違うんだそうです。また最近は昔と違って、全然トカゲ然としていない。研究者の立場や時代によって結論が変わってしまう研究とは何なのかという疑問があった」
 このあとに井上助教授は、イデオロギーやその時代の国策によって『歴史』の解釈が変わるということを、述べていらっしゃるのですが、恐竜の復元については大きな誤解をされておられるようです。

 化石では軟組織はめったに残らない、そして動物の動きもほとんどのこらない、ということがあり、復元についてもっとも難しい点はここにあります。
 たとえばマッコウクジラが現生の生き物ではなく、化石でのみ知られる動物だったとしたなら、イルカ型に復元されていたことでしょう。現在生きているゾウが存在しなければ、その化石は相当違ったかたち(※1)に復元されていたはずです。骨というのはあくまでも生物の一部分でしかありません。現生の生き物でさえも、頭骨でトラとヒョウとライオンの区別をつけることは専門家でも困難なのです。

 そういう断片的な資料しかない悪条件下において、少しでも事実に近づくためには、現生の生物から、あるいは化石そのものや生痕化石から帰納・演繹する以外にありません。
 それが古生物学のアプローチです。
 たとえば、昔の復元では、恐竜は、ゴジラのように尾を引き摺って歩いていました。しかし、力学的な結果から、そして尾をひきずらずに歩いた足跡化石などが発見されたことから、ゴジラ型の復元はかなり前に姿を消しました。また、羽毛の印象をもつ恐竜化石が発見されたのは割合最近の話ですが、類縁関係のある種類についても、代謝率の見積もりが変わってきます。その運動能力についても同様です。あるいは、変温動物であるとされていた動物に、二次口蓋が発見されたとするなら、その動物は恒温動物と考えるのが妥当でしょう。現生動物についての新発見があれば、それも復元に反映されます。逆に同じ事実でも、研究者によって解釈の違いということもあります。

 古生物の復元が変化するのは、新事実の発見、試料に対する新しい分析結果によるものです。時代によって結論が変化するのは当然のことで、かりにいつまでたっても学説に変化のない学問があるとするのなら、それはすでに死んだ学問だと思うのです。

 もちろん古生物学者たちにも、みずからの学説に対する固執がないわけではありません。しかし、恐竜の復元を、イデオロギーや国策的なものと一緒にされることにはやはり違和感を感じてしまいます。

【注釈】
※1 ゾウの鼻を復元する
 化石にはめったに鼻のような軟組織は残りません。ただ、ゾウの鼻を復元できないとすると、牙が邪魔になるため、どうやって摂食していたかが謎となったはずです。あるいは、長い舌をのばして摂食する復元図が描かれていたかもしれませんね。



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『盗人、襲来』
1998年11月10日執筆

さきほど、帰宅してご飯を食べているとき、車体に組み込んでおいた非常警報装置がけたたましく鳴り響きました。
 警報機の感度は、車体に触れた程度では鳴らない設定にしてありましたから、おそらくは『なにものかが単車を引きずって動かそうとした』ということのようです。外に飛び出すまで時間がかかってしまったので、曲者をつかまえることはなりませんでした。しかし、犯人氏はそうとう驚いただろうことを思うと、なかなか痛快です。あえて鍵を増やして盗難に備える方法ではなく、コストのかさむ遠隔操作型警報機をとりつけることにしたのは、じつは『自分の手で犯人をつかまえたい』というあたりに動機があったりします。

 しかし、2度までも盗みに来るとは、よっぽどわたしの『ティコ』を気に入っているのでしょうか。自分でいうのはなんですが、他にもっといい単車がたくさんあるような気がします。なんとも不思議です。『ティコ』のエンジンは何か憑いているがどとく、禍々しいまでに良くまわるけれど、車体のほうは90000kmを超えるくらいなので、まんべんなくへたりこんでいるのです。

 しかしながら泥棒にくれてやるには、手間も愛情もかけすぎていますし、今後も末永く乗りつづけようと思っている車体ですから、断じて盗ませるわけにはいきません。
 『やつ』の再びの襲来にそなえ、新たな対抗策を考えています。
 もちろん、手持ちのトランスとコンデンサを組み合わせて高圧電撃装置を制作し、さらに釣り針とほそいエナメル線を組み合わせて電極をつくり、皮膚に食い込んだまま取れなくする仕掛けにしようとか、そういう非人道的なトラップではありません。
 いくつか思いついた対策は、今週末に車体に実装するつもりなので、あえて秘密にします。効果があったときには、このコーナーで秘密を明かす予定です。

そうそう、これは実行するつもりはありませんが、単車にPHSをしかけておくというのもおもしろそうですね。一昔前のモバイルコンピュータを搭載し、GPSと連動させて、現在地やデータその他をサーバーに送るのです。車載CCDカメラから取り入れたJPEG画像データを5分ごとにFTPでサーバーに転送すれば、ツーリングの実況中継WWWも実現できそうですね。



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『すこし思うこと』
1998年11月11日執筆

このコーナーは、もっぱら鳥獣草木や、飛行機、単車のミーハーな話題でつないできました。
 政治的な話、思想的な話は、あえてさけるようにしていましたが、今日は例の『景気対策』について、少しだけ思うところを書くことにします。

 働いている人たちがお金を貯えるのは、万が一のために、あるいは先行きに不安を感じるからないでしょうか。だとしたら、『先行きの不安を取り除く』ことにまさる経済政策はないような気がするのですが、どんなものでしょう。
 わたしも単純に福祉予算を増やせばいいとは思っていませんが、『なぜ貯蓄するのか』を考慮せずに目先の対策をしたところで、効果はあがりそうにはないですね。

 ただ、わたしの考えをいえば、消費は美徳という考えかたには反発を覚えます。
 禁欲主義を気取るつもりはありません。しかし、ものを使って捨てて経済を繁栄させ、地球圏内システムに還元できないものを大量生産していく過程には、おおきな歪みがあるのではないかと思います。
 こういう話になるたびにひきあいにだしてしまい、恐縮なのですが、自然界の物質の循環は、大きく見ると『生産』『消費』『分解』の過程に分けられます。もちろん熱のような回収のむずかしいエネルギーはありますから、可逆な過程ではありませんが、これに太陽のエネルギーを加えることでおおむね収支は一定しています。
 しかし、経済主義的思考からは、なぜかこの『分解』過程がすっぽり抜け落ちています。『消費は美徳』的なスローガンをささえているのは資源も環境も無尽蔵にあるという考えなのでしょうが、廃棄物の処理もろくに考えていない状態で『生産』『消費』もあったものではないような気がするのです。経済的にいい目を見るのは常に生産者と消費者で、この社会構造下では分解者はむくわれることがないですよね。



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『みぞれの降る夜』
1998年11月20日執筆

静かな夜です。
 外はみぞれが降っています。庭のキンモクセイが、うっすらと白い化粧をしています。
 もう少したてば、みぞれは雪へと変わることでしょう。

 でも、あしたは休日出勤なので、ティコに乗れないのはちょっとこまりものなのです。

雪と単車といえば、日立市から仙台市まで220キロメートルの道を帰ってくる途中、積もる雪の中ついに走行不能になり、常磐腺鹿島駅で夜をあかした思い出があります。
 また別のときに、積もる雪の中をカウンターをあてながらNSRを走らせ続け、途中でよったガソリンスタンドの店員さん一同に拍手喝采でむかえられたこともありました。(今思えば、まったくお客さんが来ないので、ひまだったのでしょう。)
 しかし、今のわたしは安全確実で堅実な生きかたを好む男なので、石橋をたたかずにタイトロープをわたりつつ累卵を抱えて薄氷を踏むようなことはしたくありません。

 あしたまでに、どうか雪がとけますように。

昼休みの会社の事務の女性から、配偶者控除関係の書類を渡されました。 わたしは独身なので、『なぜ』と聞いたところ、いわく――いままでずっと、わたしは妻帯者だと思っていたとのことでした。先の8月で30歳をむかえ、ようやくわたしにもダンディさが身についたのでしょうか。あるいは、得意技のオヤジギャグが原因でしょうか。どうしてそう思ったのか、後学のために聞いておけばよかった。(^^;

 ここだけの話ですが、勤め人は『働いてさえいればいい』ので、わたしには楽なんです。周囲に口裏をあわせるため、大変だ、大変だと言うことにしていますが、内心では結構余裕をかましています。働いているだけで社会的にも認められ、お金までもらえてしまういうおまけまでついてきます。活動費はすべて自腹、社会からは煙たがられ、敵がどんどん増えていく(味方もふえますが)種類の環境NGO活動から考えると、休日出勤や徹夜など、まるで天国のようです。

 でも、渡り鳥がパラダイスに安住してはいけないですね。

不況についての立場と問題意識のお話、さすがはぴか さんです。

 環境が変われば、その環境に適応していた生物はダメージを受け、場合によっては絶滅することもありえます。環境が変わったことに環境が責任をとる必要があるか、と問われれば『ない』ような気もしますし、『ある』ような気もします。同種の動物の間には『淘汰』と『相互扶助』という正反対の力が働いていて、微妙なバランスをとっているのですが、前者に天秤が傾くと世界は殺伐とし、後者に天秤が傾くと種の活力が失われます。
 やはり、わたしには答えをだせそうにはありません。

妹から借りていた『パンチ・ザ・モンキー』を回収されてしまいました。ここのところのBGMとして欠かせない存在となっていたCDでしたが、そのかわりにマッキー(笑)がいろいろな曲をカヴァーしているCDを貸してもらいました。『モンキー・マジック』も良かったのですが『君に、胸キュン』に悶絶しました。

 この曲を聞くと、すっかり思い起こすこともなくなっていた甘酸っぱくもこっぱずかしい記憶が一気に急速浮上してくるのでいけません。
 この曲が鳴り響いていた当時、わたしはまだ中学生でした。遠い目。



[目次]
『まちがえた』
1998年11月29日執筆

今日、夕食を食べていたとき、家のそとで警報音が鳴り響きました。そう、先日単車に取りつけた振動感知式警報機です。

 おのれ曲者、このワシから逃げおおせると思うてかっ。
 拙者けっこう怒っているナリよ。

 わたしはドアを蹴破らんばかりの勢いで(でもドアを壊さないように気をつけて)反射的に飛び出しました。飛び出したのですが――そこにいたのは、ひどくうろたえている宅急便のお兄さんでした。うちに荷物を届けようとして、門の前にとめた単車に引っかかってしまったそうです。

 おどかして、ごめんなさい。

『ティコ』に盗難警報機をつけたのは、泥棒をこの手で捕らえたいからです。鍵を増やしたり、目立たないところに隠すような消極策はわたしの性分にあいません。
 だから、単車はあえて目立つところに置いて、例の単車泥棒がくるのを待ち構えています。
 獲物を待ち伏せる肉食獣の心情がよくわかる今日この頃です。

単車の話といえば、第二次世界大戦のレシプロ機のように『水メタノール噴射装置』を単車につけてみたらおもしろいのではないかと、ふと思い立ちました。吸気側に水とメチルアルコールの混合液を噴射し、それが奪う気化熱で吸気温度を下げるというしかけです。
 スーパーチャージャーやターボチャージャーがついているわけではないので、劇的な効果があるとは思えないのですが、低熱源側の温度が下がれば内燃機関の出力は向上しますから、理論的には効果はあるはずです。
 エアクリーナボックスに穴を開け、そこに電池式の噴霧器をとりつけ、噴射液のタンクは左側カウルの内側において――という具合に頭のなかで思わず図面をひきはじめてしまいましたが、あらかじめ試算をしてからでも遅くないと思い直しました。
 そこで、低熱源側の温度をどのくらい下げることでどのくらいの出力向上が望めるのか、計算してみようとしたのですが、虎の巻の『内燃機関』が行方不明で見つかりません。 カルノーサイクルやスターリングサイクルの式はわかるのですが、これに代入してもしかたがなさそうですね。



[目次]
『被子植物化石について』
1998年11月30日執筆

中国遼寧省から花を咲かせる世界最古の被子植物化石が発見されたことについての話題です。はずかしいことに、わたしはこのニュースを、新聞を読んではじめて知りました。情けなや。ここのところ『仮の仕事』で日銭を稼ぐのに手いっぱいで、アンテナが低くなっていたようです。
 早速、サイエンスのホームページで写真を見ましたが、見事な保存状態の化石ですね。葉だけならともかく、茎まで完璧に残っている化石は貴重です。

 しかし、『今回初めてジュラ紀に被子植物が存在したことが判明した』的な新聞報道には、すこし突っ込みをいれたくなります。(^^;
 今回の発見の重要な点はあくまでも『有無をいわさぬ保存状態の化石が見つかった』ということであって、実際のところ、これはかなり前から予測されていたことなのです。
 今までにも、ジュラ紀後期の地層から花粉とみられる化石が確認されています。身近な例では、福井県の手取層群(ジュラ紀後期の層群で、日本国内では恐竜化石が発掘できる数少ない場所のひとつでもあります)からは、マメ科の種子とみられる化石も産出しています。
 さらに、ペルム紀(二畳紀)後期に出現したグロソプテリス(Glossopteris)は、裸子植物と被子植物の中間的な特徴をすでにそなえていますから、ジュラ紀どころか三畳紀(!)に真正の被子植物が登場している可能性さえもありそうですね。

ミャンマーの後期始新世(約4000万年前)の地層から発掘された霊長類化石も興味深い話題です。

 数ヶ月前のネイチャーに、哺乳類の系統分化は白亜紀の段階でかなり進んでいたという報告があったと記憶しているのですが、残念ながら件の号が手元にありませんでした。
 ここはやはり定期購読を考えるべきでしょうか。週末に最新号を読めるというのは魅力なのですが――再来月の給料まで待つとしましょう。
 大学時代、図書館で自由に閲覧できたころがなつかしいです。

一歩さんから質問の『掲示板のログをどうやってとったのか』ですが、わたしの場合は『名前をつけて保存』でそのままうまくいきました。わたしはWINDOWS95環境でIE3.02とNN2.02を使っているのですが、どちらを使っても問題なくHTMLソースの保存ができます。(^^;
 『ソースの表示』で見てもだめなのでしょうか。それならばいっそのこと、キャッシュに溜まった内容をそのまま読み出して使うというのはどうでしょう。


過去のさえずり(タイトル一覧)

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