[始祖鳥生息地へ]

祖鳥のさえずり
(1998年10月1日(木)~1998年10月22日(木)執筆分)

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 落ちも構成もない散文的な文章を垂れ流しにさせていただく連載コーナーです。

西暦1998年、すでに人類は、『日記共同体』を結成していた。
『×-FILE』
by 一歩さん
『雑騒鬼』
by ぴか さん
『月の裏側』
by luna さん
『ありあり雑記』
by 海野さん
『日記共同体』はインターネットの奥深く秘密裏に作られ、
冷静沈着なピカレイカー司令官の呼びかけのもと、
日夜、謎の訪問者UHO(※1)を歓迎し続けるのであった。

 訪問者歓迎の準備は、できた。
※1 UHO :『アンディファインド訪問者』の略。


[過去のさえずり(タイトル一覧)] [始祖鳥生息地へ]

第218回『移転しました』 1998年10月1日(木)執筆
第219回『久しぶりの更新』 1998年10月4日(日)執筆
第220回『謎の単車CXR』 1998年10月7日(水)執筆
第221回『レビュー製作中』 1998年10月8日(木)執筆
第222回『アウトロー始祖鳥』 1998年10月9日(金)執筆
第223回『スズキのハヤブサ』 1998年10月15日(木)執筆
第224回『資料を発掘』 1998年10月17日(土)執筆
第225回『心理学のこと』 1998年10月19日(月)執筆
第226回『たらいまわし』 1998年10月20日(火)執筆
第227回『いいわけ』 1998年10月22日(木)執筆


[目次]
『移転しました』
1998年10月1日執筆

昨日付けで引越しを完了しました。
 あたらしいプロバイダはなかなか快適です。

 しかし、FTPで全ファイルを転送するのに大変時間がかかりました。塵も積もればなんとやら、この連載のディレクトリだけでも、いつのまにか893キロバイトに達していたのです。
 このコーナーは2月からの連載ですが、月別でもっとも文章の多いのは3月分で、154キロバイトです。二番目は5月分の119キロバイト、三番目は6月分で115キロバイトです。ちなみに7月以降は、テキストの量が減少の傾向にあり、最低記録を更新し続けています。なんと9月分は、過去最低の50キロバイトでした。全盛期の一週間分のテキスト量ですね。

朝起きて、眼鏡が見つからず、狼狽しました。

 大変です。このままではウルトラセブンに変身できません。(※1)
 ひととおり探しても見つからず、今日はもう眼鏡なしでいいやとあきらめかけたとき、実はすでにそれをかけていたことに気づきました。
 あああ。

行きつけの書店で『ヘンダーソン生物学用語事典』の翻訳版を衝動買いしてしまいました。

 壱萬参百九拾円なり。
 でも、わたしにとって値段以上の価値はある本です。これのCD-ROM版があると本当に便利なのですが、発刊はされないでしょうね。

一歩さんぴか さんluna さん、さっそくリンクを直してくださってありがとうございました。m(__)m

【注釈】
※1 変身ができない
 変身ベルト(免許証その他が入ったウェストポーチ)がなくて仮面ライダーに変身できないというパターンもありました。免許不携帯はともかく、単車のキーがないともうお手上げです。



[目次]
『久しぶりの更新』
1998年10月4日執筆

題記のとおりです。

 どうもわたしの場合、適度に負荷がなければ文章を書けないらしいことに気がつきました。忙しすぎても、暇すぎても、その気になれないという因果な性格です。

 ここで書きたい話題はあるのですが、論理をまとめて文章を打ち込み、それを推敲するのが今日はもうだるくてできません。それを考えると、一歩さんはほんとうに凄いですね。

ぴか さん、3000人目のご訪問、ありがとうございます。当地もようやく3000の大台に達して嬉しい限りです。

 『読書共同体』とは粋な企画ですね。参加には、別コーナーを新設しなければならないのでしょうか。もしこのコーナーに塗り込めてよいのでしたら、ぜひ参加させてください。

さきほど、先週買ったきり読む機会をとれなかった『ティラノサウルスの育てかた(同文書院: ISBN4-8103-7544-7)』を読了しました。この本は、恐竜の解釈については金子隆一氏の著作に大きく影響を受けているようで、不思議な既視感を感じます。この本を読んでいると『この文章(情報)は、どこかで読んだぞ』という箇所に、何度も遭遇します。
 記述については突っ込みを入れたい箇所もあります。それは後日あらためて書きますが、全体として面白く読めました。こういう科学の文脈と論理で遊ぶ、『SF』的な試みは大好きです。
 そうそう、この本の第5章は『始祖鳥の育てかた』でした。

 実はこの章末に『始祖鳥は「始祖」ではなかった?』というコラムがあるのですが、シノルニスに関する記述に納得がいきません。『気嚢を持つこと』がシノルニス独自の特徴であるように書かれているのですが、始祖鳥にも気嚢はあったはずです。大体、題記の論説を立てるならば、始祖鳥よりも1500万年も後に登場するシノルニスよりは、むしろ三畳紀後期の地層から出たプロトアヴィスを引き合いに出すべきではないかという気がします。もちろんプロトアヴィスが鳥であるかについては賛否両論がありますが、『始祖鳥は「始祖」ではなかった』という論説でこれに言及しないのは片手落ちのように思います。
 ――って、結局突っ込みを入れてしまいました。

これを書いているうちについに月曜日の午前1時40分になってしまいました。

一眠りしたらまた仕事だと思うと、少しブルーな気分です。(^^;



[目次]
『謎の単車CXR』
1998年10月7日執筆

来週の『生き物地球紀行』 ツメバケイ(ホーアチン)(※1)の生態を記録したものだそうです。始祖鳥(古生物のほう)に関心があるかたは必見です。
 さきほど、ビデオに録画しておいた、NHK特集『海』の『クジラだけが知っている』も見たのですが、これについてのコメントは後日あらためてにしようと思います。

ぴか さん読書共同体むけにページを新設しました。
 URLは以下のとおりです。

http://homepage1.nifty.com/archaeo/text3/review.html

 まだ未完成なのでトップページからはリンクしませんが、とりあえず骨組みをつくり、レビューを考えている作品をリストアップしておきました。
 どれもお気に入りの本ですが、定番を微妙に外すようにこころがけています。『鷲は舞い降りた』の感想など、恐れ多くて書けませんです。でも『ソロモンの指輪』『魚影の群れ』『地球の長い午後』は定番中の定番かもしれないですね。
 ニフティサーブ『創作の部屋』から撤退して以来、感想文を書くことは、ほんとうにひさしぶりです。
 頑張るぞっ。

3年ほど前のお話です。
 ワナカから100キロメートル離れた街、アレクサンドラのバイク屋に行ったときのこと、わたしは、店内に見慣れない単車が鎮座していることに気づきました。
 エンジンは4ストローク350ccの単気筒で、スーパートラップのような形のサイレンサーがついています。ならばXRかと思いきや、車体には倒立サスがついており、リアサスペンションも妙に長いのです。タンク脇を見ると『HONDA・CXR』とプリントされています。こんな単車は聞いたことがありません。
 店の主人に聞いてみました。


謎の単車CXR
『この単車はこちらで販売されている型ですか』
『違うね、俺が作ったんだ。カスタムメイドだ』

 店主は満面に笑みを浮かべつつ、店の奥に消えていった――かと思うと、写真を一束持ってきて説明してくれました。

『XRの350ccエンジンと、CRMモトクロッサーの車体を組み合わせたんだ。速いぞ』
『でもよく4ストローク350がCRMのフレームの中に収まったね。なにか問題はなかったの』

 良くぞ聞いてくれたとばかりに、店主は写真の束を探って、一枚をわたしに手渡してくれました。フレーム下部を撮影したものです。

『ここのフレームのビボットを一度切り取ってから溶接しなおしてな――』

 エンジンの下側がつっかえたので、アンダーフレームを切り取って溶接したのだそうです。実物と写真を交互に指差しながら、どこをどう切ってどう溶接し直したかを一時間以上にわたって説明してくれました。
 やっぱり、ニュージーランドの人は器用です。

【注釈】
※1 ツメバケイ(HOAZIN :Opisthocomus hoazin
 南米のアマゾン流域に生息する鳥で、体長は60センチメートル、体重は810グラムあります。大きさはカラス程度で食性は雑食、川沿いなどの水辺に生息し、水面から2~6mの位置に巣を作ります。強力な麝香を放つため、土地のひとは食用にはしないようです。
 このツメバケイのもっとも注目すべき特徴は、若鳥がその翼に自由に動く指と鉤爪を持っているという点にあります。幼鳥はこの自由な指を使って木をよじ登るのですが、この翼は化石から分かる始祖鳥の翼に酷似した構造です。
 その分岐分類学的位置は謎につつまれています。



[目次]
『レビュー製作中』
1998年10月8日執筆

ぴか さん読書共同体に参加すべく、『ソロモンの指輪』のレビューのために日本語版を一読しました。懐かしい、小学生のころにタイムスリップしたような心持ちです。そのまま勢いで英語版(University Paperbacks)を読みはじめたところ、章の順番、内容が日本語版と違うことに気づきました。日本語版にはない『THE TAMING OF SHREW』という章があるのです。内容は大食漢で神経質なトガリネズミを飼育したときの苦心談でした。

 せっかくですからこれもレビューに反映させる予定です。レビューを楽しみにしていらっしゃるみなさん(誰もいないか(^^;)、今週末まで、どうかご猶予をいただきたく思います。

中国の遼寧省から、またあらたに羽毛を持った恐竜が発見されたようです。
 詳細はまだここには書けませんが、その『羽毛がはえていた恐竜』というのが意外な種類なのです。(少なくともわたしは驚きました。)短報か論文が Nature に掲載されしだい、ここで話題にしたいと思います。

 モンゴルからは、ヴェロキラプトルに二次口蓋(※1)があった証拠を示す化石が見つかったようですし、この分野はまったく大変なことになっています。1年前の知識で蘊蓄を語ったりすると、それこそ手痛い火傷を負うことになるかもしれません。

 そういうわけで、今日のネイチャーのサイトの更新に期待を寄せていたのですが、残念ながら上記についての記事はありませんでした。残念です。

 そうそう、トピックスに、変換効率33パーセントを実現した太陽電池の記事がありました。門外漢のわたしにはよくわかりませんが、どうやら凄いことのようですね。

ゆえあって昔の資料をたぐっていたところ、なにかあやしい電顕写真を発見しました。
 学部時代のものだと思うのですが、わたしはこんなものを撮影した記憶はありません。どうやらわたしと同時期に電顕を使っていた、どなたかの写真がまぎれこんだものと思われます。
 これがいったい何を写したものなのかご存知のかたは、始祖鳥までご一報ください。
 ほんとうにわからないんですう。(;_;)


謎の電顕画像

【注釈】
※1 二次口蓋
 鼻孔と口腔を仕切る骨板のことです。この『仕切り』があるおかげで、わたしたちは、鼻で息をしながら食物を摂ることができるわけです。恒温動物は大量のエネルギー(あるいは酸素)を消費するために、食べている間も呼吸する必要がありますから、現在知られている恒温動物はおしなべてこの構造を持っています。
 つまり、二次口蓋とは『恒温性』に強く結びつく構造であり、これがヴェロキラプトルに見つかったということは、この恐竜が恒温性であった有力な証拠と言えます。



[目次]
『アウトロー始祖鳥』
1998年10月9日執筆

ぴか さん、読書共同体の文意を誤解していましたこと、ごめんなさい。

 あらためて『地球の長い午後』か、『恐竜クライシス』で参加させていただこうと思います。

ネット上で探しものをしていたときに、偶然性格診断のサイトを発見しました。そこでたわむれに設問に答えてみたところ、こういう結果がでてしまいました。

 要約すると、『合理的なものの考えかたをする反面、感情量が豊富で愛情が濃く、判断力が高く探求心が旺盛で、わがままで気ままで、協調性に乏しく個人プレーが得意なはみだし者』という内容です。
 ひいては酒とギャンブル、加えてSEX and DRUGで身を持ち崩すタイプだとのことでした。

 ――ひどい。(笑)
 これではまるでわたしがアウトローな社会不適合者のようです。
 前者は反証がむずかしいのでともかくとしても、わたしは後者には全く該当しないことを、わたしの名誉のために補足しておきます。(^^;

 しかし、こういう事実と全く異なる結果が出ても、『潜在的にそういう要素を持っているのだ』『潜在意識の中ではそう思っているのだ』とか言いだすから、心理学のヒトってきらいです。(すごい偏見>始祖鳥)
 潜在意識とか超自我を持ち出したら、その時点で話が終わってしまいます。ついでにいえば夢判断というやつも非科学的で大いに気に入らない(※1)ところなのですが、このお話はまた次の機会にします。

【注釈】
※1 非科学的で大いに気に入らない
 非科学的なことそれ自体は特にかまわないのですが、非科学でありながら、あたかも科学であるかのようにふるまう『擬似科学』がわたしは大嫌いなのです。



[目次]
『スズキのハヤブサ』
1998年10月15日執筆

スズキのGSX-1300R『隼』には驚きました。
 思わず『マシンハヤブサ』を連想してしまい、それを口にだすことをあえて思いとどまったかたはさぞかし多いことでしょう。それを知りつつ、あえて書いちゃうわたし。(笑)
 『ストック状態で、毎時300キロメートルの壁を超える単車』という設計思想がすごいですね。インパクトの強いスタイルは意見の分かれるところですが、わたしはこれを格好良いと感じます。余裕があったら1台欲しい単車です。

 このあとのラインナップとしては、おそらく『鐘馗』『疾風』と続くのでしょう。いっそ、カワサキにも『飛燕』を作ってもらいたいものです。

一歩さん落ち穂拾い、ありがとうございます。

 『地球の長い午後』は、わたしのもっとも好きなSFのひとつです。
 思い入れが強いだけに、それだけ感想を書くのが難しいということに今更ながら気づき、読書共同体のみなさんの書評を読んで、冷や汗をたらしていました。なんとか読むに耐える感想をめざし、『地球の長い午後』を再読中です。

 luna さんオンラインマガジンの企画にもとても興味をひかれているのですが、まずは『地球の長い午後』の感想です。
 ぴか さん、努力のすえにもし書けなかったら、ごめんなさい。

『始祖鳥の生痕』について、コンテンツを準備中です。
 今回のお題も例によって『七つの海のティコ』となる予定です。文章はおおむねできあがっているのですが、絵がいまいちしっくりこないので、試行錯誤しているところです。ペペロンチーノ号について、当地で独自に調査研究した結果を、数日内におとどけします。

インターネット上でマンガの連載をはじめようかと企んでいたのですが、マンガという媒体は、WWW環境への親和性が低いことをあらためて感じました。

 普通、マンガは右綴じをスタンダードとして絵を描くわけですが、WWWのブラウザは左から右に読むように設計されている以上、逆の方向にコマを割らなければなりません。横書きで台詞を書くというのもなんだか違和感があります。

 また、画像の圧縮方式もマンガの大敵です。JPEGというのはフルカラー自然画を得意とする画像フォーマットなので、モノクローム画像の場合、GIFファイルの圧縮率に負けてしまうことがよくあります。効果線を引いたり、網掛けなどをしたときには圧縮率はもう絶望的です。フルカラーのブラウザ画面にモノクロでは寂しいですし、それでいて圧縮率のメリットもないとなると、カラーで描くのが妥当なのでしょうが――わたしは色を塗るのが苦手なのです。(;_;)

 WWWめ、マンガ描きに恨みでもあるのかあっ。

性格診断の話題です。

 luna さん診断結果ですが、これはじつに肯定的な評価ではありませんか。
 いいな。うらやましいです。(^^;
 童話作家とかマンガ家のようなクリエイティブな仕事に適性があるというのは、当たっているような気がします。この性格診断も、たまには当たることがあるようですね。(自分が無茶苦茶いわれたものだから根にもってます > 始祖鳥)

 そのあとに巡回した海野さんアウトロー度が、わたしのそれをはるかに凌駕していることに、抱腹絶倒してしまいました。海野さん、じつにハタンしています。イケてる結果です。(失礼平謝m(__)m)
 エゴグラムというのは有名な手法だったのですね。まったく知りませんでした。

 診断結果についてですが、あまり気になされる必要はないと思います。話題を持ち出した本人がこんなことを言うのも珍妙でありますが、否定的な診断結果はギャグとしてとらえ、良いところだけを自己暗示に使うのが正しい使い方でありましょう。(^^;
 すくなくとも、わたしの診断結果はあたっていません。わたしはギャンブルも酒も嫌いですし、さして感情が豊かとはいえませんし、わがままでも気ままでもないし、協調性に乏しいということもありませんし、どちらかといえば個人プレーも避けるほうだと思います。
 たぶん。



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『資料を発掘』
1998年10月17日執筆

さきほど資料を整理していたところ、ファイルの中から興味深い論文のコピーが出てきました。
 ニュージーランドのマッセイ大学の Gavin R. Hunt博士の研究チームが発表した論文で(NATURE VOL379 18 JANUARY 1996)、要約するとニューカレドニアのカラス(New Caledonia crow:Corvus moneduloides)が目的に合わせ、虫を探り出す二種類の道具を作成し、これを使っていた、という内容でした。
 この論文は、カラスたちはある意図と規格に基いて道具を加工していること――つまり、自然の形状や偶然に頼ることなく道具を『作って』いる――、また、グループによって道具の文化的な違いがある(つまり後天的に習得されたものである)ことにも言及しています。このカラスたちの道具の作成能力は、チンパンジーを凌駕し、下部旧石器時代のヒトの能力に匹敵するものであるそうです。

 このあいだは、アメリカカケス(Florida schrub jay)のエピソード記憶能力について発表(NATURE 17 September 1998)がありましたし、鳥の知能や問題解決能力が注目されているようです。かつてよく耳にした『鳥には大脳新皮質がないので高等知能動物とはいえない』という言説は、最早とどめをさされた感がありますね。

『七つの海のティコ』のペペロンチーノ号について、資料検討の結果、明らかになったことをまとめてみました。『始祖鳥の生痕』に掲載予定のコンテンツでしたが、添付するイラスト(落書き)が難航しているため、とりあえずここに掲載します。

『ペペロンチーノ号』

全長19m   (始祖鳥による推測値)
全高15メートル(始祖鳥による推測値:マスト含む)
排水量90トン (始祖鳥による推測値)

 LD第1巻の映像特典では、ヨーロッパのどこかの港のドックで完成し、そこから出航したことをにおわせています。これによると、スコットとアルはペペロンチーノ号の完成前から知り合いだったようです。

【特徴】
 砕氷船を改造した船体に、観測を目的にした高いブリッジ、船体後部に巨大な作業用クレーンを1基装備した、印象的なシルエットをもつ船です。

【機関】
 船体中央、煙突の直下にある機関室に、直列6気筒のディーゼル機関を搭載しています。インチシステムのネジを使っている(※2)ところから、どうやらアメリカ製のエンジン(BSインチならイギリス製)らしいことがわかります。

【駆動系】
 駆動軸は船倉の下をくぐって船尾に導かれ、船尾から垂直におりています。このことからペペロンチーノ号の推進器は、タグボートのように能動的に推力方向を変えられるベクター・ノズルであることを推測できます。ただしスクリューは1基しかないため、タグボートのような横進はできませんが、それでも同級の船よりも小回りがきくことは間違いありません。

【船の速度】
 エンジンが強力なうえに、喫水は比較的浅めで、船足はかなり速いようです。(第3話、第4話参照)しかし、喫水が浅い船体に高いブリッジという構成は、荒天時に船体の動揺が大きく、転覆の危険があることでもあります。荒天時の操船には問題がありそうですが、おそらくスコットとアルの高い操船技量でカバーしているのでしょう。

【艤装】
 ブリッジには舵輪、電探(レーダー)、羅針盤、投光器が装備されています。
 無線機のマイクとスピーカーは水中電話と共用です。スペースを節約するためでしょうか。
 マスト頂部に円盤形のレーダーアンテナが装備されています。第2話で登場したマスト上部の降雨集積装置は忘れ去られてしまい、以降2度と使われていません。
 左舷前方にはダンフォース型のアンカーを備えつけられています。

【その他】
 船倉内に水を供給する配管が通っています。わざわざこのような低い位置の、水を使いそうもない船倉内に配管を通すというのは、船倉から見て前方の機関室に給水ポンプがあるためかもしれません。あるいは、設計上、工作上の理由で上部にパイプを通せなかったためでしょうか。
 元が砕氷船ということで、最前部と最後部に砕氷時の姿勢維持用の水タンクがありそうです。
 オーブンはガスで動くものですが、調子があまり良くないように見えます。また、冷蔵庫は,ナナミの台詞(第1話)によると、『ちゃんと冷凍ができない』もののようです。

 一般家庭用の電球が点灯したり、トーマスのパワーブックが恒常的に動いている(※3)ところから推測すると、電気系統は少なくとも110Vを供給できるものだと考えられます。

【注釈】
※1 エピソード記憶能力
 『いつ』『どこで』『なにが』起こったかを、関連させて記憶する能力のことです。今まで、これはヒト特有の能力であると考えられてきましたが、前述の発表でアメリカカケスにもこの能力があることがわかりました。

※2 ペペロンチーノ号のエンジンはインチシステム
 第13話のアルの台詞に『2インチのスパナを取ってきてくれ』というものがあります。

※3 トーマスのパワーブックが恒常的に動いていた
 もちろん、12/24Vの変換アダプターがあるなら、ノートブックを動作させたり充電したりすることは可能ですが、トーマスがかつて乗船していたスコーピオ号の環境から推測するに、かれがあらかじめ変換アダプターを持っていたとは考えにくいからです。 (デスクトップ型のコンピュータが稼動できる環境であったことから、スコーピオ号の電装系は110V以上であったと思われます。)



[目次]
『心理学のこと』
1998年10月19日執筆

風邪をひいてしまい、今日は、まる一日の間、家にいました。
 これを書いている今も、あまり調子がよくないので、おそらくあしたも家で休むことになりそうです。
 ――といいつつ、『七つの海のティコ』のコンテンツを準備しています。

めたる さん(一歩さんluna さんのリンクから行けます)が14日の日記で当地について書いてくださっているのを発見しました。ありがとうございます。いわゆる『心理学』に疑いを抱いていたのは、わたしだけではなかったのですね。(^^;

 せっかくですから、わたしが心理学をうさんくさく思っている理由について、詳しく書いてみようと思います。

 この話題になるとふと思い出すのが、『航空力学的に見てマルハナバチが飛行することは不可能である』というパラドックスです。もちろん、航空力学的にはどうであれ、マルハナバチが飛行している事実は厳然として存在していますから、これは既存の航空力学のほうになにか不具合がある――と普通は考えるでしょう。しかし、この種の性格診断に関してはどうやらそれが成り立たないようです。

 自然科学の分野では観測された事実がもっとも優先されます。『マルハナバチは飛んでいるのは幻覚で、ほんとうは飛んでいないのだ』などということを言っては物笑いの種ですが、心理学好きの方々は『潜在意識のなかではそう思っているのだ』『顕在化していないが、そういう要素を持っているのだ』というフレーズを恥ずかしげもなく使っているように見えます。自らを疑うのが科学の前提のはずですが、どうも心理学は理論を優先し、観測事実をねじまげる傾向があるようにわたしには思えるのです。

 適正と思われる結果が出ない責任を被験者に転嫁すること――つまり『自己を受け入れていないから』『精神的に自立していないから』ということで結果が狂うと主張するあたりも勘弁してほしいです。(笑)
 だいたいそういう誤差が生じるのがはじめからわかっているなら、それを処理判別できるシステムを作るのが先決ではないかとわたしは思うのですが、この考えかたはおかしいでしょうか。処理がうまくいかない責任をひたすらに被験者にかぶせるというのは、『協力的な相手の前でしか超能力を使えない自称超能力者』の所業となんら変わるところがないような気がします。
 『心理学』という御大層な学問が、まさかその程度のノイズを処理できないほど稚拙なものであるとは考えにくいので、権威をかさに着て理論の検討をサボタージュしているということでしょうね。

 というわけで、わたしは心理学の、事実(現象)に対するアプローチが嫌いです。
 『ヒトは基本的に同じもの』というところから始まるのが心理学の方法論であるとすれば、文化人類学は、『ヒト(文化)は基本的に差違のあるもの』としてとらえるところから始まっているような気がします。
 どちらのアプローチに魅力を感じるかと問われるなら――好き嫌いという意味では――わたしは後者のほうが好きですね。



[目次]
『たらいまわし』
1998年10月20日執筆

一歩さん、当地の『たらいまわしURL転送』の件、もうしわけありません。

 転送されるのがニュージーランドのサーバーから日本までですから、地球4分の1規模の『たらいまわし』ですね。平にご容赦を。
 VOYAGERNIFTYMTCI という具合に転送されますから、ニフティのメインテナンス時にはそこから先の転送が効かなくなるという間抜けな事態になってしまいます。そういえば、ニフティは今日もメインテナンスのようですね。はたしてあの理不尽な混雑は解消されるのでしょうか。
 そうそう、これがなぜそのままになっているかと言えば、わたしのニュージーランドでのプロバイダである VOYAGER が、外部の接続からのFTP『送信』を受け付けてくれないからなのです。要するに、手元からのファイルのアップロードができません。一縷の望みをかけたiPass 経由でもだめでした。
 解決策としては、結局のところ、ニュージーランドのアクセスポイントまで国際電話をかけるほかないのです。しかしながら、当方いまわりと深刻な経済危機(手持ちの分で給料が出る来月まで持ちこたえなければならないのです)に陥っているますゆえ、いましばらくおまちください。
 『たらいまわし』の解消は前向きに善処いたします。

琴鳴さんluna さんの掲示板に書きこみに行きたいと思っているのですが、攻勢に転じることができません。当地の掲示板にいつも書きこんでくださっているというのに、まったく我が身の文章作成能力の不足が情けない。次の週末までには攻勢に転じたいです。

秀丸エディタのマクロで『ピノココンバーター』を開発しました。
 ここ数年内に作ったもののなかでは、もっとも抜きんでた馬鹿ソフトです。(当社比)
 アルゴリズムは至って簡単、もとの文章の文字を以下の規則にしたがって置換するだけというシンプルなものです。

置換前置換後
ですなのよさ
しますするわのよ
しょちょ
さいちゃい
さんたん

 さらに、ところどころに『アッチョンブリケ』を挿入すると、よりそれっぽくなるでしょう。
 姉妹品として『ニャロメコンバータ』『天才バカボンのおやじコンバータ』、果ては全ての文字を『バケラッタ』で置換する『O次郎コンバータ』も企画にあがったのですが、これはもはやコンバータですらないという意見がでたので開発は中止いたしました。



[目次]
『いいわけ』
1998年10月22日執筆

由々しきことに、ここのところ日記の更新が途絶えがちである。どういうわけか夜になるとひたすらに眠いのだ。睡眠だけがすべてを救ってくれる。大西洋単独無着陸横断中のリンドバーグが八甲田山で死の彷徨している気持ちがよくわかるというものだ。酒を飲んだり、風呂に入ってしまうともういけない。シュバルツシルト半径から徒歩3分くらいの、とにかく絶対的決定的に脱出不能な状態に激しく果てしなく突入してしまうのである。
 この点に関しては徹底的に追求解析回帰分析し本国の司令部に逐一報告すべきかもしれないが、とにかく先を急ぐのでそんな些末なことにはかまってはいられない。
 少しでも文章を書いておくのだ。
 クジラやイルカは脳の半分をかわるがわるアクティヴにして、つねに活動を継続できるというのに、われわれはどうして眠らなければならないのか理不尽でプリミティヴな怒りにかられつつ、やっぱり眠いのでどうでもよくなってくるあたりが、わたしって駄目なやつ的な自己嫌悪充填120パーセントターゲットスコープオープン電影クロスゲージ明度20総員対閃光対ショック防御な状態です。

そういえば思い出したのですが『クイーンエメラルダス』はできが良さそうです。明日早く帰ることができたら、レンタルビデオの店に行ってみようかと思います。もし行けたら帰国後初めてのレンタルビデオ店訪問です。

 日記共同体のみなさんの日記にも、食いつきたい話題もあるのですが、今日は眠らせてください。
 とりあえず、次の日記は体温についての話題となる予定です。


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