ニュージーランドの野鳥
――始祖鳥生息地自然史分館――
野鳥に関する文と写真をあつめたページです。
第2回
『デジタルカメラで遊ぼう』
1998年2月12日執筆
前回、『デジタルカメラを双眼鏡に当てて使う』という必殺技を身につけたわたしは、さらなる被写体を求めて、午後のハグレー公園に乗り出したのでした。
今回の目標は、水鳥以外の被写体に挑戦することです。
水鳥の場合は割合に照準を合わせやすい。一般に体も大きいし、地面に近いところで生活しているので見失っても見つけるのはそれほど難しくはありません。
しかし、陸鳥――特に小鳥の類は照準があわせにくいものです。小鳥は体が小さい上に、頻繁に動きまわります。しかも厄介なことに、かれらは木にとまるのです。背景が木の繁みだったりする場合は、ただ双眼鏡を覗いているだけでも見失ないやすいものです。
さらに『連射が効かない』弱点を克服する必要もありました。QV-10Aは、シャッターを切ってから少なくとも5秒間はメモリへの転送のため液晶画面が消えてしまうのです。つまり、その間照準をつけることができなくなってしまいます。動く被写体をとらえるのには、5秒の空白は長いものです。
このあたりをいかにクリアするかが問題でしたが、練習をつんだ結果、不鮮明ながらかれらのすがたをデジタル映像におさめることができました。以下は、ハグレー公園で見かけるおもな鳥たちです。それぞれに解説を付けてあります。お役に立つことができれば幸いです。
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グレイダック(Grey Duck:Anas supercilliosa)です。マオリ名はParera。ニュージーランドに元から生息していた在来種で、雌雄の色が同じく茶色という地味なカモです。1867年以降にイギリスから持ち込まれたマガモ(Malland:Anas platyrynchos)との混血が問題になっています。日本のカルガモ(Anas poecilorhyncha)の置かれている状況に酷似していますね。雑種かどうかは次列風切り羽の色――緑色か、紺色か――で判定します。そうはいっても、どちらともつかない個体も見受けられ、時々判断に迷います。
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クロウタドリ(Brackbird:Turdus merula)の雌です。大きさはムクドリ程度。本種はニュージーランドの在来種ではなく、1860年代にヨーロッパから持ち込まれた移入種です。写真は雌ですが、雄はその名のとおり黒い色をしています。声がきれいです。
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レッドビルドガル(Red-billed Gull:Larus novaehollandiae)です。――アカハシカモメとでも訳しましょうか。マオリ名はTarapunga。近縁のブラックビルドガル(Black-billed Gull:Larus bulleri)と並び、南島の都市では日本のドバトのようなたたずまいで見かける鳥です。雑食性なので、ニッチ的にはカラスに近いかもしれません。
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ニュージーランドに住むメジロの一種、シルバーアイ(Silvereye: Zosterops laterails)です。マオリ名はTauhou。体が小さく、よく動きまわるうえに警戒心が強い小鳥なので、デジタルカメラで撮るのには苦労しました。日本のメジロ(Zosterops japonica)と種は違いますが、属レベルでは同じとのことでした。
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撮影当日に、この鳥に出会えたことは幸運でした。ニュージーランドピジョン(New Zealand Pigeon:Hemiphada novaeseelandiae)です。マオリ名はKereru。日本のカラス程もある巨大なハトで、これが飛ぶさまは見事です。離陸時の羽音は迫力があります。画面で表現できていないのが残念ですが、色は背中側がメタリックグリーンで、非常にきれいです。
大きな鳥なので、双眼鏡を通さずとも撮影できるかと思ったのですが、やはり無理でした。参考までに、双眼鏡を通さずに同じ位置から撮影した画像も用意しました。画面中心に小さく見えるのがこのハトなのであります。ははは。
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始祖鳥生息地