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七つの海のティコ
憶測事典

『七つの海のティコ』の憶測解説コーナーです。
筆者の推定や偏見が大量に混入しています。

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スクイドボールはチタニウム製だった
 このたびスクイドボールの大きさ、性能などを考慮した結果、スクイドボールはチタニウム製だったという結論に達しました。

 なぜこうなったかを説明するには、スクイドボールの直径のお話からしなければなりません。画面上で見る限り、スクイドボールの大きさは各話まちまちです。同じ話でも、アルと一緒に画面に収まっているときと、スコットと同じ画面内に入っているときとでは大きさが違ったりします。ティコ(体長8メートル)と一緒のカットにいたっては大きさが5割も違うこともありますが、キャラクターとの対比で見る限り、おおむね1.8メートル~2メートルの範囲内におさまっているようです。
 これをふまえて、まずスクイドボールの体積を計算してみましょう。球の体積はV=(4/3)*πr3で求められます。

直径(m) 体積(m3)
2.04.189
1.93.591
1.83.053

 直径が20センチちがっただけで、排水量は1トンも変わってくるのですね。以下は、もっとも小さい解釈の1.8メートルを選んで計算を続けることにします。そうでないと計算が合わないのです。

 さて、大きさについてはおおらかなスクイドボールですが、限界潜水深度については具体的な数値があげられています。『七つの海のティコ ビジュアルガイド』によると、1000メートルまで潜れるとのことです。潜水調査船『しんかい』初代の限界潜水深度が600メートルでしたから、個人レベルのものとしては、これはかなりの高性能です。水深1000メートル、すなわち100気圧の世界では、1平方センチメートルあたり103.3928571キログラムの圧力がかかります。水圧はどんなに小さな傷も見逃してはくれない――と、だれかが言っていました。相当丈夫につくらなければならないのはいうまでもありません。

 というわけで、必要な強度が得られる重さを計算してみます。外板の厚さを10センチメートル、材料をS45C鋼材(密度7.8)とすると、以下のような結果を得ることができます。

全体の体積
(m3)
内部の容積
(m3)
外板の容積
(m3)
外板の重さ
(t)
3.0532.572 0.4813.753

 つまり、鋼材だけで作った場合、スクイドボールの重さは外板だけで3.7トンに達することになります。さらに人が乗りますし、このほかに推進システムや補機類もあるはずですから、実際にはもっと重いはずです。(内部の容積にあたる空気の重さはおおむね8キログラムで、無視できるレベルです。)本編中でスクイドボールがもっとも重い荷物を運んだとおぼしきシーンは、北極で、スコットとナナミちゃんと、酸素ボンベを含むスクーバの装備一式を運んだときです。このときの総重量はおそらく4トン近かったでしょう。
 これにたいして、体積から得られる浮力は3トンに過ぎません。したがって、この鋼材製スクイドボールが水中でひとところにとどまるためには、上向きに1トンの推力を発生しつづけなければなりません。推力1トンといえば、初期のジェットエンジンに匹敵します。それ相応の面積をもつ翼をつけてやれば、スクイドボールは空を飛べることでしょう。

 これではあまりにも荒唐無稽なので、チタニウム(密度4.4)だと仮定して計算しなおしてみました。ただし、強度を保つために外板厚さは15センチメートルに増してあります。

全体の体積
(m3)
内部の容積
(m3)
外板の容積
(m3)
外板の重さ
(t)
3.0532.352 0.7013.087

 これでもちょっと浮力が赤字ですが――かなり状況が改善されました。画面で見たものと大きさは違ってきますが、さらに直径を下げることで浮力の収支の問題は解決できそうです。

 残る問題はアルがどこからチタニウムを手に入れたのかということですね。(^^;

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