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【注釈および関連項目】

※1 プロトアヴィス(Protoavis texensis)
 テキサス工科大学のサンカール・チャタジー博士によって、三畳紀カール期(2億2300万年~2億3500年前)の地層から発見された標本です。
 これは、始祖鳥よりも7500万年をさかのぼるもので、鳥の化石だとすると知られている限り最古のものです。しかし、地質年代から見て他の標本から孤立していることと、化石自体があまりにも断片的であることから、この標本についての評価はいまだ定まっていないのが現状です。

※2 コンフキウソルニス(孔子鳥:Confuciusornis sanctus
 生息年代は1億2,000年以上前の、(現在知られている限り)クチバシを持つ最古の鳥です。ただし、ネイチャー1999年6月17日号によると、頭骨自体の構造は鳥類的というよりはむしろ一般的な双弓類のそれに近いようですね。現生の鳥の直系と考えられているグループが角質のクチバシを手に入れるのは白亜紀の末期ですから、クチバシは進化史上何度も独立してあらわれたことを示唆するものです。

※3 シノサウロプテリクス(Sinosauropteryx prima
 後期ジュラ紀~前期白亜紀(陸成層の年代決定は難しいのです)の地層から発見された化石です。この標本は一見すると普通の獣脚類化石なのですが、その周囲に羽毛状器官の痕跡が残っていました。
 この恐竜は中華竜鳥、あるいは中華鳥竜と表記されていましたが、シノルニトサウルスを中華鳥竜と表記する報道もあり、しばらくは混乱が続きそうです。呼称が定着するまでのあいだ、このホームページでは学名のカタカナ読みを使うことにします。

※4 カウディプテリクス(尾羽鳥:Caudipteryx zoui
 当地の1998年6月25日から数日間の日記を参照ください。

※5 プロトアーカエオプテリクス(原始祖鳥:Protarchaeopteryx robusta
 当地の1998年6月25日から数日間の日記を参照ください。

※6 エナンティオルニス類(Enantiornithes
 当地の1999年2月2日の掲示板のログを参照ください。

※7 ツメバケイ(ホーアチン:Opisthocomus cristatis)
 幼鳥の羽には始祖鳥とそっくりの爪があります。

※8 中国義県層
コンフキウソルニス(孔子鳥)やシノサウロプテリクス、カウディプテリクス(尾羽鳥)、プロトアーカエオプテリクス(原始祖鳥)の発掘場所でもあります。
 この義県層は下部白亜系(1億2500万年前)と推定されていますが、上部ジュラ系(1億4500万年前)とする意見もあります。なぜ具体的な年代が出てこないのかというと、陸成層の年代決定は一般に難しいからです。海成層の場合は示準化石が豊富なことからかなり具体的な年代決定ができるのですが、陸成層の年代決定は手がかりが少なく見積もりは困難です。
 カリフォルニア大学バークレー校の Padianによると、動物層そのものはジュラ紀のそれに近いようです。(『ネイチャー』1998年4月15日号)
 義県層が、本当にジュラ紀の地層であったのか、あるいは白亜紀における『生きた化石』の宝庫であったのか、いまのところ結論は出ていません。


※9 ドロマエオサウルス科
 獣脚類の分類群で、有名どころでは、恐竜恒温動物説の火付け役となったディノニクスや、ジュラシック・パークで有名になったヴェロキラプトルなどがこの仲間に含まれます。(※10) 後肢第2指に折りたたみ可能な巨大な鉤爪を備えていることと、腱で固められた尾を持っていることが特徴です。
 この仲間は鳥の祖先に近縁であると考えられています。

※10 ヴェロキラプトル
 映画ではヒトよりも大きく表現されていましたが、実際にこの名前を持っている恐竜は、中型犬くらいのボリュームの動物です。もっとも2足歩行のため背が高いことから、実際よりも大きめに見えるかもしれません。
 このヴェロキラプトルのキャラクターを決定づけているのが、プロトケラトプスとの闘争化石です。後肢第2指の巨大な爪を相手の腹に打ちこみ、自分自身は腕を噛まれたその瞬間の標本が発見されています。
 ヴェロキラプトルは、いくつかの点で、始祖鳥よりもむしろ現生のトリに近い特徴を持っています。