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始祖鳥のさえずり単車編
始祖鳥がいままでに乗用した単車について語るコーナーです。


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第1回 『ホンダ・スーパーカブ90』 1999年9月1日執筆
 


『ホンダ・スーパーカブ90』 1998年9月1日執筆

HONDA C90  わたしは高校3年後半から大学を卒業するまでの間、新聞配達を続けていました。バイクを使って某経済新聞を配達する仕事です。地方紙ならば一軒隣、また隣という具合ですから、走って配ったほうが速いのですが、そこは何しろ経済紙。読者の密度はツキノワグマの生息密度レベルというのが定説であり(嘘)、必然的に新聞配達者の一人当たりのテリトリーは広範囲となります。さらに受け持つ区域が山岳地帯(^^;)のため、バイクは必須なのです。(若き日のわたしはこれを口実に単車の免許を取りました。)
 その仕事の際に、割り当てられたのがこのスーパーカブ90(C90)です。中型自動2輪免許をもっていたのが店長とわたしだけ、そして店長はといえばメイト80に乗っていましたから、C90はなかば必然的にわたし専用機となりました。

 このC90が正式にわたしのものになったのは、乗り始めて1年、2年たったころです。ニュースメイト80への機種更改とともに廃車にされるはずだったところを3万円で売ってもらいました。情が移っていたこともありますが、なによりも、こんなおもしろいバイクを買わない手はないと思ったからです。新聞を入れる前照灯つきのかごをとりはずし、各部の軽量化をはかった以外は、基本的に改造はしていません。

【C90の特性】
 メインテナンス性は素晴らしいの一言です。
 C90のパンク修理は自転車と同じ要領でおこなえます。自転車に使う程度のタイヤレバーでもタイヤをめくることができるのです。トレール車やエンデューロ車のタイヤと同じ構造なのですが、なにしろ細くて小さいタイヤなので、コツも力もあまり必要ではないのです。(^^; センタースタンドがついているので、チューブの交換でもしない限りタイヤを外す必要はありません。
 ただ、ステップが左右一体式で、しかも可倒式ではない(要するにただの鉄棒)のは納得がいきませんでした。
 カブを転倒させると、ステップが後上方にねじ曲がってしまうのです。
 C90のフロントサスペンションはテレスコピック式ではなく、ブレーキをかけると前が持ち上がる不思議な構造です。減速時にも車体の姿勢を崩さないための工夫でしょう。(郵便カブ、ハンターカブはテレスコピック式です。)右側にスイッチが集中しているため片手運転がしやすいのもカブの特徴です。

【C90の裏技】
 ライダーの体重にも左右されると思いますが、C90は70km/hで安定した巡航が可能です。しばらく我慢していれば80km/hはいけるでしょう。あれでなかなかスピードが出るのです。

 さて、みなさんご存知のとおりカブの変速機はロータリー式です。普通の単車とは違い、左手にはクラッチがありません。そのかわりに、カブのクラッチは変速ペダルに組み込まれています。つまり、踏み込んだままの状態ではクラッチが切れているのです。この機構を理解していると、クラッチを利用したアクセルターンやウイリーが自由にできます。
 ただし、ヤマハのメイトではこうはいきません。変速ペダルを踏み込んでもクラッチは一瞬切れるだけですぐにつながってしまうからです。

【C90のハンドリング】
 カブ系は少半径でくるりと回るのが得意です。バンクするときも、比較的パタパタと倒せます。それに対して、ヤマハのメイトはじわっと曲がる傾向があります。NSRとTZRのハンドリング特性の違いにも似て興味深いのですが、これについては『NSR250RG』の回で追求する予定です。

【カブのチューニング】
 モンキーやゴリラと基本的に同じエンジンなので、チューニング部品は豊富です。サードパーティからはボアアップキットやカムシャフト、マフラーにいたるまでありとあらゆるジャンルの部品が販売されています。純正部品に着目しても、125ccまでの排気量増大ができますし(タイ製カブに125ccがある)、その気になれば、モンキーRの純正5速ミッションを組み込むことさえもできるのです。
 とはいうものの、わたし自身のお気に入りのチューニングパーツ(?)は、エンジン関係のものではなく、カブ専用のスパイクタイヤだったりします。冬の新聞配達の必需品で、氷結路面はお手のもの、少々の雪などものともしない走破性で、冬の山道の通学に威力を発揮したものです。これはいまでも物置の中に居座っています。

【始祖鳥のC90の最期】
 いつものように直線路を80km/hで走らせているとき、4ストオイルが焦げるにおいを感じたすこしあとに、突然リアホイールがロックしました。後輪を固めたまま減速し路肩に寄せ、エンジンを調べてみると、完全に焼き付いてキックも踏めない状態になっています。
 C90のクランクケースの右側にはロータリー変速機のシャフトの一部が顔を出しているのですが、そこからオイルが漏れていたのです。この数日前にエンジンを分解して組み立てなおしたのですが、このときのオイルシールの取りつけかたが悪かったのでしょう。普通の走行には問題なかったのですが、全開運転によって油圧が高まり、オイルが一気に噴出したのが原因でした。
 これ以来、パッキンやオイルシールの取りつけには細心の注意を払うようにしています。




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