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始祖鳥は飛び立った
最終更新日:2000年8月29日

第1回 『わたしが飛ぶ理由』 1998年2月5日執筆 (6月24日改稿)
第2回 『今までに操縦した飛行機』 1998年6月24日執筆
第3回 『ある一日の飛行』 1999年10月3日執筆
第4回 『長距離飛行の1週間(前編)』 2000年8月29日執筆


『長距離飛行の1週間(前編)』
2000年8月29日執筆


水曜日
クライストチャーチ→ティマルー(C185:ZK-JPM)
ティマルー→ハースト(C185:ZK-JPM)
ハースト→ティマルー(C185:ZK-JPM)
ティマルー→オマラマ(C185:ZK-JPM)

木曜日
オマラマ→フォックス(C172:ZK-EKH)
フォックス→オマラマ(C172:ZK-EKH)
オマラマ→キルモント(C172:ZK-EKH)
キルモント→クライストチャーチ(C172:ZK-EKH)

金曜日
クライストチャーチ→オマラマ(C172:ZK-EKH)
オマラマ→インバーカーゴ(C172:ZK-CAP)
インバーカーゴ→ライアンズ・クリーク(スチュワート島)(C172:ZK-EKH)

土曜日
悪天候のため飛行できず

日曜日
ライアンズ・クリーク(スチュワート島)→ワナカ(C172:ZK-EKH)
ワナカ→オマラマ(C172:ZK-EKH)
オマラマ→クライストチャーチ(C172:ZK-CAP)


クライストチャーチ→ティマルー
ティマルー→ハースト
ハースト→ティマルー
ティマルー→オマラマ

マグネトーの故障 エンジニアが ・水曜日 クライストチャーチ-ティマルー 後席に乗る ・ティマルー-ハースト  マグネトーに不調をきたして着陸 ・ハースト-ティマルー

ティマルーのエアストリップに着陸をした。  ボンネット型の古めかしいトラックが放置されているのを見つけた。ほとんど目の高さにある荷台の上には、鹿の頭蓋骨が転がっていた。それにしても荷台の位置が高い。後輪に巨大なタイヤを備えているため、荷台が上に押し出されることは必然なのだが、現代風の低床型設計のトラックを見なれた目には奇異に写った。  なぜこんなに後輪にこれほど大きなタイヤを装備しているのかという疑問は、すぐに解消した。横から見ると、車体下の空間がすっぽりと空いている。つまり、プロペラシャフトが高い位置にあるため、ロードクリアランスが高く、ひいては悪路での走破性に重点をおいているということだ。  確信はないが、WW2当時、軍隊で使われていた型のトラックではなかったかと思う。 コパイロット(副操縦士)として イニシアル 牧場に  3輪同時に接地する着陸をしていたことに気づく。 注意される。  農場は、有史以来そうとう長い期間にわたってハイテクノロジーの晴れ舞台でありつづけた実績があるのだ。

もう一仕事残っている。コンピュータの再セットアップを頼まれているのだ。もちろん、Windows95だという話は事前に確かめておいたので、それなりに手はずは整えている。
 お茶をご馳走になったあと、事務室に案内された。そこにあったコンピュータは、5インチのフロッピーディスクを装備した、古めかしい外観のAT互換機であった。胸中に湧き上がる暗雲を意識しつつ、電源を投入する。
 BIOSメッセージはCPUが80386であることをを示し、じつに悠然とした動作でメモリー確認作業を開始した。この段階で、胸中の暗雲はもはや全天をおおいつくしていた。これは、まさか――。
 OS起動メッセージが表示された瞬間、わたしは予測が的中していたことを知り、がっくりと肩を落とした。
 Windows3.11であった。

※注 古めかしいPC
 あとで聞いた話によると、91年製の機械をもらってきたのだという。この国のひとはほんとうに物持ちがいい。

※注 Windows3.11
 Windows3.1にネットワーク機能を付加したもの。日本語版はリリースされなかった。

記憶を掘り起こしながら復旧作業をする。システムディスクなしの状態ではできることは限られているが、起動時にエラーで停止してしまう問題は解決できそうである。  30分後、SYSTEM.INIのドライバ設定を書き換えることで、どうにか使える状態になった。AUTOEXEC.BATとCONFIG.SYS、SYSTEM.INIとWIN.INIを手動で修正するのは久しぶりの経験であった。

 インターネットに接続できるようにしたいとの意向だったが、モデムがないため今回は作業を見合わせた。次回はモデムとともに、Win3.11用のIE3.0+ダイアルアップネットワークをインストールする予定である。
 夕食にロースト・ビーフとフレンチフライ、食後にデザートをご馳走になる。おいしかった。午後9時過ぎに就寝する。

【木曜日】 フォックス・グレイシア マウント・クック  マツダの小型車 「このふざけた日本車は小さくていかんな」  窮屈そうに身をかがめて、ナビゲーターシートのジムがいった。 「 「ジム、それはあなたが大きすぎるのだ」
 わたしはいった。
「日本人というのは本来たいへんに謙虚な国民なのだ。大きい物を作ることの傲慢さをじゅうぶんに知っているんだよ。小さいものは美しい――という考えが日本人の考え方の基調をなしているのだ。戦前のように大きいものをつくる気はもうなくしたようだが、このごろの日本人は小さいものについてはうるさいよ」

 もちろんギャビン・ライアル作品の台詞のパクリである。

牧場からの離陸 途中で折れ曲がっている滑走路、というのは新鮮な驚きだった。 スピードをつけながら離陸 途中で向きを変え、




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