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始祖鳥は飛び立った(飛行機の話)
THE ARCHAEOPTERYX HAS FLOWN



飛行機全般についてのコーナーです。




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第1回 『わたしが飛ぶ理由』 1998年2月5日執筆 (6月24日改稿)
第2回 『今までに操縦した飛行機』 1998年6月24日執筆
第3回 『ある一日の飛行』 1999年10月3日執筆
第4回 『長距離飛行の1週間(前編)』 2000年8月29日執筆
 


『わたしが飛ぶ理由』


 飛行機とは、いろいろな点で興味深いものです。
 もっとも先鋭的でありながら、もっとも自然の力の影響を受けやすい動力機械のひとつであることもそうです。操縦感覚において、地上を走るバイクになぜか酷似しているという点もそうかもしれません。
 飛行機の興味深い点は数えあげればきりがないのですが、わたしがもっともおもしろいと思っていること――それは、地上において飛行機は、単なる自動車以外のなにものでもないということです。
 しかし、滑走路の中心に機体を据え、スロットルレバーを押し込んだ瞬間、なにかが変容します。無機質な構造物でしかなかった両翼に、異質ななにかが宿りつつあることが操縦桿を通して伝わってきます。そして60ノットで操縦桿を引き起こしたとき、アルミ合金製の構造物は、鳥のごとく空に舞うものへと変貌します。それは地上を走る生き物が地上の呪縛から解き放たれ、最初の『鳥』となった瞬間の再現にほかなりません。わたしは飛行機の離陸に、鳥の進化の過程のおもかげを感じるのです。(※1)

 ヒトが重航空機で動力飛行ができるようになってから、まだ100年になりませんし、モンゴルフィエの熱気球から数えても、300年すら経過していません。それ以前の時代に生きた人々、ヒトの歴史のほとんどすべてに生きた人々は、鳥のごとく飛ぶことは決して許されませんでした。だからこそ、多くの偉大なる先人たちのために、そして進化の先駆者たちのために、ヒトは飛ぶべきであると――思うような、思わないような。(弱気)

【注釈】
※1 鳥の飛行の起源
 鳥の飛行の起源については『樹上から飛び降りた』という説と、『虫を追っていて舞い上がった』という説がありますが、いくつかの証拠からわたしは後者だと考えています。


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