ツチボタルについて |
もし機会があったなら,ぜひ,ここを訪れてください。
洞窟の天井一面に,静かな満天の星空のごとく,青白い光をはなっているかれらに出会うことができるはずです。
※なお,図版は「THE NEW ZEALAND GLOWWORM(参考文献)」から引用したものです。
ツチボタル属(Arachnocampadae)の分布です。 ニュージーランドに一種(Arachnocampa luminosa),タスマニアに一種(Arachnocampa tasmaniensis),そして,オーストラリア本大陸のクイーンズランド州と(Arachnocampa flava),ニューサウスウェールズ州に(Arachnocampa richardsae),それぞれ1種が生息しています。 |
孵化中の幼虫です。産卵から孵化までの期間は20日~24日です。 ツチボタルのライフサイクルは18ヶ月(!)で,かれらはそのほとんどの期間を幼虫の姿で過ごします。 |
右の写真はは巣の中にいるツチボタル幼虫の実写,左はその解剖図です。実体写真でもわかるとおり,幼虫の体には色素がないため,内部器官がすけてみえます。体の後端に発光器官があり,これで獲物をおびき寄せます。 この図版には書かれていませんが,幼虫の体長は30mm~40mmです。 かれらの移動能力は限定されていますが,成虫になるまで20cm~30cmを移動することができます。 かれらの発光波長は490nmにピークがあり,これは色相で言うと「緑色に近い青」となります。 |
ツチボタルの蛹です。15mm~18mmの大きさです。 羽化までは12~13日を必要とします。 |
成虫です。左が雄,右が雌です。成虫には口がなく,食べ物をとりません。 その多くは幼虫の餌になります。下記の表は成虫の体長,翼長を生息環境別にまとめたものです。洞窟に生息する個体群のほうが若干大きめであることがわかります。 |
Male | Female | |||
---|---|---|---|---|
Bush | Cave | Bush | Cave | |
Body length | 9-11 | 12-15 | 10-13 | 13-16 |
Wing length | 6-7 | 7-8.5 | 7.5-9 | 9-12 |
millimetres |
巣の中にいるツチボタルの幼虫です。 すだれ状にぶら下がっているのは,幼虫の体内から分泌される糸で,玉のように膨らんでいる箇所は粘着性の液体でコーティングされています。 これは光におびきよせられてきた獲物を捕らえるときに,糊の役割を果たします。 |
ツチボタルの巣を上記の図版の角度で撮影してみました。細部がつぶれてしまいましたが,巣の全体的なたたずまいをイメージできるでしょうか。 |
【参考文献】
THE NEW ZEALAND GLOWWORM(FREDERIKSON:Waitomo cave museum sociaty)
※図版は全て上記からの引用です。